長身を生かした対人能力の高さだけでなく、ボランチもこなせるユーティリティ性が魅力の冨安

J2のアビスパ福岡から今年1月にベルギー1部のジュピラーリーグ、シント=トロイデンVVへ移籍したDF冨安健洋(とみやす・たけひろ/19歳)。

移籍直後はケガに泣き、昨季は1試合の出場にとどまったが、今季は187cm、84kgの恵まれた体躯(たいく)を生かし、開幕からセンターバック(CB)の一角としてスタメンに定着している。

東京五輪での活躍が期待されており、森保ジャパンの初陣となるキリンチャレンジカップ2018では、ついにA代表に初選出。

パワフルなプレーとは裏腹に生まじめな性格の持ち主である大型DFは、果たしてベルギーでどんな経験を積んでいるのか。

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――主に3バックの右ストッパーとして出場していますが、ここまでの手応えは。

冨安 昨季は1試合、それも1分間の出場でボールにも触っていなかったので、今季の開幕戦が僕の実質的なデビューでした。もちろん緊張はしましたが、引き分けスタートで第4節まで負けなし(4分け)。

ただ、こっちに来た当初は一度も練習参加することなく、しばらくリハビリをしていたので、最初は周りの選手からも「アイツ、誰?」みたいな感じで見られていましたし、まだすべての人に認められたとは思っていないので、毎試合自分の価値を証明したいという気持ちでやっています。

――シント=トロイデンVVにはベルギーだけでなく、フランスやスペイン、ポルトガルやウクライナなど欧州の選手に加えて、ブラジルやコンゴ、コートジボワール、ガーナ出身の選手もいます。ベルギーリーグは多国籍な印象ですが、日本との違いを感じることは?

冨安 サッカー的にはまず裏狙いというか、縦への展開が速い。監督からも無駄な横パスはするなと言われますし、試合では前半からカウンター合戦になることもあります。

――アフリカ系のスピードやパワーのある選手も目立ちます。

冨安 確かに強くて速い選手は多いです。ただ、福岡でウェリントン(現・神戸)と一緒にやっていましたし、シモビッチ(当時、名古屋)とも対戦していたので、そこまで衝撃を感じることはないですね。

――もともと海外志向は強かったのですか。

冨安 海外でプレーしたいと思ったのはU-18のときにイングランドと試合をしたのがキッカケです。1-5と惨敗したのですが、こんなにも差があるのかと思い知らされて。いつかはイングランドのプレミアリーグに挑戦したいですし、そのためには少しでも早く海外に出なければと。

移籍のタイミングとしては昨年5月のU-20W杯の直後がベストだったのですが、そこでいいプレーができずに冬のタイミングになりました。

――ところで、サッカー選手として19歳という年齢をどう考えていますか。

冨安 決して若くはないですよね。もうすぐ20歳ですし、最近「ヤバイ、もうすぐ10代じゃなくなる」と焦ってます(笑)。

――ベルギーはオランダ語とフランス語が公用語ですが、言葉はどうしているのですか。

冨安 チーム内は、ほぼ英語です。最初はまったくできなかったのですが、最近は『DMM英会話』で勉強中です。

――チームには遠藤選手、関根選手、小池選手もいますし、ベルギー国内にも日本人選手は多いですよね。

冨安 「みんなで集まれたらいいね」という話はしていますが、まだ今季はそういう機会がないですね。この前、航くん(遠藤)とブリュッセルに行き、みんなに声をかけたのですが、結局、誰も来てくれず、ふたりで食事して帰ってきました(笑)。

――大型CBとして、若くして海外挑戦を果たし、将来を期待する声も多いです。

冨安 確かに、前の選手に比べると後ろの選手は海外で結果を残すのが難しい面もあるかもしれませんが、自分ができることをやるだけです。別に東京五輪だけを見据えてここに来たわけではないですが、結果を出せば自然とそこにつながる。焦らず、やっていければと思います。

●冨安健洋(とみやす・たけひろ)
1998年11月5日生まれ、福岡県出身。2016年、高校3年生のときにアビスパ福岡のトップチームに昇格。今年1月、ベルギー1部のシント=トロイデンVVに完全移籍