やっぱり今年もカープは強かった(ほかが弱かった!?)。なんでこんなに強いのか? V3の原動力は? 巨人以外では初となるセ・リーグ3連覇の謎に迫る!
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「今季のカープは脇役的な選手、特に若手が台頭したことが強さの秘訣(ひけつ)です」
地元のテレビ局関係者がそう胸を張る。
その筆頭ともいえるのが、中継ぎのヘロニモ・フランスア。ドミニカのカープアカデミー出身の24歳で、5月半ばまでは育成選手だった。5月21日に支配下登録され、いきなり1軍に抜擢(ばってき)されると大車輪の活躍。
「カープは慢性的な左腕不足で、特に中継ぎはコマが足りない。そこに颯爽(さっそう)と現れたのがフランスアでした。MAX157キロの直球と、毎試合投げてもへこたれないスタミナが売り。彼のタフネスぶりが苦しい夏場のブルペンを救いました」
8月には日本記録に並ぶ月間18試合登板を果たし、見事、月間MVPにも輝いた。これで年俸880万円は安い!
「左の救世主がフランスワなら右はアドゥワ誠(まこと)。彼は将来のエース候補です」(スポーツ紙記者)
アドゥワは熊本県出身。松山聖陵高校(愛媛)を卒業して、16年ドラフト5位で入団。今季、1軍デビューすると中継ぎで10試合連続無失点を記録するなど高卒2年目とは思えない存在感を見せている。
「球速は140キロ台半ばですが、196cmの長身から投げ下ろすカーブとチェンジアップは角度もあって効果的。厄介な投手が出てきましたね」とは、他球団のスコアラー。
父親はナイジェリア人で、アドゥワ本人は「見た目はこんなですけど、英語は苦手です」と言って笑いを取るのがお約束なのだとか。年俸は480万円とこちらも安い。
一方、野手で名前が挙がるのが4年目の野間峻祥(たかよし)。
「鈴木誠也が故障でリタイアした際にチャンスをつかみ、今や田中を押しのけて1番に定着。俊足と思い切りのいいフルスイングが持ち味です」(前出・スポーツ紙記者)
岐阜県の中部学院大学出身。中央球界では無名ながらも、ドラフト1位で指名された期待株。4年目、25歳でのブレイクはむしろ遅いくらいか。
「野間は引退発表した新井さんから"いじられ役"としてかわいがられました。ムードメーカーとしてもベンチを明るくする存在です」(前出・地元テレビ局関係者)
年俸は1600万円ナリ。
打者ではもうひとり、3年目、23歳の西川竜馬を忘れてはいけない。敦賀気比高校(福井)から社会人を経て、15年にドラフト5位で入団。今季はサードのレギュラーに定着し、打率3割超え。クリーンナップを任されることも増えてきた。
「ミートのセンスはOBの前田智徳氏が『すでに一流』と太鼓判を押すほど。難しい内角球をライトのフェアゾーンギリギリに打ち返す神業的な技術が身上で、ファンの間では"天才"という異名がついています」(前出・スポーツ紙記者)
年俸は2000万円。
フランスア、アドゥワ、野間、西川。今季の裏MVPと言っても過言ではない「アンダー2000万円カルテット」は、4人合わせて年俸4960万円。やっぱりカープは商売上手!
『週刊プレイボーイ』41号(9月22日発売)「圧巻のセ界制覇! 今年こそCSは大丈夫か!? 広島カープ 独走V3『4つの謎』」では、他にも、なぜ緒方監督は名将と呼ばれないのか? カープが警戒する球団は? などの謎に迫っている。
※記録やデータは9月18日現在、年俸は推定。