今シーズンのレアル・マドリードについて語る宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第65回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、今シーズンのレアル・マドリードについて。クリスティアーノ・ロナウドが抜けたことにより戦力が大幅ダウンするかと思われたが、シーズンが始まってみると抜群の強さを発揮。宮澤ミシェルも彼らの戦いぶりに注目している。

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C・ロナウドが抜けたレアル・マドリードは、新シーズンを絶好のスタートを切ったね。昨年までのレアル在籍8年間で通算450ゴール以上を奪い、リーグ戦では毎シーズン30ゴール近くを決めてきたC・ロナウドが抜けた穴を微塵も感じさせない戦いを見せているよ。

攻撃陣は今季、1トップにベンゼマがいて、右にベイル、左にイスコが入っているけど、3選手ともに気持ちよさそうにプレーしている。昨年までならC・ロナウドに得点を決めさせるのがチームの勝利に最適な方法だったから、彼らは一生懸命にお膳立てをしていた。

だけど、今シーズンの彼らは、ゴール前では自分でドカッと決めている。やっぱり彼らも世界最高峰のレベルにある選手だってことだよな。それに、新監督のフレン・ロペテギのもとでのレアル・マドリードはトータルフットボールになっているんだ。

カリム・ベンゼマも前線からチェイスをするし、ガレス・ベイルも中央に絞ってボールホルダーにプレッシャーをかける。それでいて世界最高レベルの高速カウンターで一気に攻め込むから、相手にしたら止めるのがこれ以上に厄介な相手はいない。

C・ロナウドが抜けた不安を一掃して、多くの選手が輝きを増しているなかで、割りを食っている選手がいるんだよ。それがルーカス・バスケス。彼はオールマイティーで、昨年まではいろんな選手の穴を埋めてきた。攻撃の流れが悪い時に投入されれば、チャンスをつくり出したし、C・ロナウドが守備をしない分も彼が担った。働き蜂としては抜群の存在感だったんだ。

今年はC・ロナウドが抜けたことで、彼自身はレギュラーを狙えると思っていたはずなんだけど、C・ロナウドの移籍で空いたスタメンの座には、マルコ・アセンシオが入った。アセンシオはボールをさばくこともできるし、守備も上手いから、なかなかバスケスに先発出場の機会がこないんだよね。

それに加えて、ほかの選手たちも攻守の負担を全員で分担しながら、バランスを取った戦い方をしているから、余計にバスケスに出番が回ってこない。ちょっとかわいそうなんだ。ただ、シーズンは長いから、必ず彼の力が必要なときはくる。だから、その時にバスケスがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみにしているんだ。

ロナウドが抜けたことに注目が集まるけれど、新戦力もちゃんと獲っている。昨年、17歳にして約57億円という移籍金で獲得したブラジル人のヴィニシウスが、今季からチームに合流した。まだトップチームでプレーしていないから、早くどんな選手か見たいんだよ。レアルが獲得するくらいの選手だから、よっぽどの才能だろうし、彼が次代のC・ロナウドのような存在になっていくのは間違いないだろうね。

さらに、新戦力では日本代表もW杯ロシア大会で苦しめられたベルギー代表のティボ・クルトゥワも獲得しているんだよ。ケイラー・ナバスとどう併用していくのか注目しているよ。世界屈指のGKをふたりも抱えるチーム・マネジメントの難しさは、想像するだけでも大変なことだからね。

C・ロナウドという大黒柱が抜け、監督もジデジーヌ・ジダンからロペテギに代わった割には、好調にシーズンを滑り出したレアル・マドリードにとって、本当に大変なのはまだまだ先のこと。確かにC・ロナウドは昨年まで30点くらい決めたうちの20点くらいはチームメイトの完璧な崩しがあってのものだった。

だけど、残りの10点くらいは凄まじい重圧のかかる舞台で、彼自身の力によって決めたものでもあったのは紛れもない事実だからね。

そういうプレッシャーがかかる大一番で、果たしてベンゼマやベイルがゴールを決められるのか。それができれば2年ぶりのリーグ制覇はもちろん、前人未到のチャンピオンズリーグ4連覇という夢のようなことが実現する可能性はある。今シーズンも間違いなくレアル・マドリードがサッカーシーンの主役になるだけに、どんなシーズンを送るのかすごく注目しているよ。

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