今季の優勝候補の一角と目されていた柏がまさかの低迷。ここまでの失点は、リーグワースト4位となる45。9月にチームに復帰した鈴木を中心に、どれだけDF陣が粘れるかが、J1残留のカギを握る 今季の優勝候補の一角と目されていた柏がまさかの低迷。ここまでの失点は、リーグワースト4位となる45。9月にチームに復帰した鈴木を中心に、どれだけDF陣が粘れるかが、J1残留のカギを握る

12月1日の最終節に向かって佳境を迎えているJリーグだが、今季の優勝争いは前年王者の川崎フロンターレと、序盤戦に独走したサンフレッチェ広島による"一騎打ち"の様相を呈している。

しかしその一方で、終盤戦にさしかかった段階において近年まれに見るほどの大混戦模様となっているのが、半数以上のチームに降格の可能性が残されている「J1残留争い」の行方だ。

今季の昇降格のレギュレーションでは、J1全18チームのうち15位以内に入ればJ1残留が確定。16位のチームはJ2の3~6位によるプレーオフ勝者との入れ替え戦を行ない、勝利すればJ1残留し、敗れた場合はJ2に降格。そして17位と18位のチームは自動降格を強いられることになっている。

ただし、今季のJ2上位争いには、J1に参入するための条件をクリアしていない町田ゼルビアが絡んでいる。仮に町田がJ2で自動昇格圏内の2位以上の成績を収めた場合は、J1の16位チームの残留が確定し、代わって17位のチームがJ2プレーオフ勝者との入れ替え戦を戦うことになる(18位チームはJ2に自動降格)。

J2町田の成績も影響することで、より予想が難しくなっている今季のJ1残留争い。今回は、J2降格の危険性が高いと思われる3チームを占ってみたい。

まず、J2降格の最有力と思われるのが、今季初めてJ1の舞台に立ったV・ファーレン長崎だ。

開幕前から苦戦が予想されていた長崎は、シーズン序盤こそ4連勝を飾るなど順調に勝ち点を積み重ねていたものの、5月に失速。他チームとの戦力差が一気に露呈することになった。

そこで、後半戦に向けて助っ人外国人選手ふたりを新たに獲得して巻き返しを図ったが、DFヨルディ・バイスが奮闘する一方で、点取り屋として期待された元スペインU-18代表FWハイロ・モリージャスが大誤算。得点どころか試合出場さえも叶かなわない状態が続き、ハズレくじを引いた格好となってしまった。

FWがゴールを決めてくれなければ自慢の堅守も耐え切れなくなるのは当然で、失点数はリーグ最多の50を記録(10月1日時点。以下同)。第23節以降は最下位に低迷する。唯一の希望は、ラスト5試合が残留争いのライバルとの直接対戦であることか。

4月に4連勝で波に乗るかとも思われた長崎だったが、その後は黒星を重ねた。昨季J2を勝ち上がった「堅守速攻」のスタイルもJ1では影を潜めている。残る下位チームとの直接対決で意地を見せられるか 4月に4連勝で波に乗るかとも思われた長崎だったが、その後は黒星を重ねた。昨季J2を勝ち上がった「堅守速攻」のスタイルもJ1では影を潜めている。残る下位チームとの直接対決で意地を見せられるか

その長崎と同様に黄信号がともっているのが、昨季4位に食い込み、今季は優勝争いに加わるともみられていた柏レイソルだ。

柏はリーグ屈指の外国人FWクリスティアーノをはじめ、日本代表GK中村航輔やFW伊東純也など多くのタレントをそろえている。それだけに、28試合を戦い終えて降格圏の17位に低迷するとは、まさに想定外の出来事だ。

これまでを振り返ると、危機感が希薄なフロントの対応が浮き彫りになる。まず、アジアチャンピオンズリーグと並行して戦ったリーグ序盤戦で、不調から回復できない状態が続くと、5月に下平(しもたいら)隆宏監督の解任を発表。ところが、後任となったのは下平監督の右腕だった加藤望ヘッドコーチだった。

前任者と同じくクラブOBである加藤監督では劇的な変化は望めず、夏の移籍期間には、最下位に低迷していた名古屋にDF中谷進之介を引き抜かれる始末。

焦ったフロントは後半戦スタート直前にJ2ジェフ千葉から高木利弥(としや)、ブラジルからナタン・ヒベイロをDF陣に加えるも、これが奏功せず。さらにGK中村が脳震盪(しんとう)により長期の戦線離脱を強いられたことで、守備の立て直しにめどが立たなくなってしまった。

結局、9月にスペインからDF鈴木大輔を復帰させたが、周りと阿吽(あうん)の呼吸で連携するには時間がなさすぎる。先制しても追いつかれ、逆転を許すといった試合が続く現状を見ると、降格チームの典型的なパターンに陥っていると言わざるをえない。

残り試合も強豪との対戦が続くだけに、2009年以来のJ2降格も現実味を帯びてきたとみていいだろう。

そして、危機的状況に陥っているこれら2チームのほかに、終盤戦にきて意外なチームが残留争いに吸い込まれている。W杯による中断前は8位に位置していたジュビロ磐田だ。

今季の磐田は、昨季のチームをベースに"ピンポイント補強"を行なってシーズンに臨み、序盤は順調に勝ち星を積み重ねていた。しかし同時に、成績低迷につながるネガティブな要素が重なっていたことも事実だった。

昨季6位と躍進した磐田も苦しい戦いが続いている。6月に右足の手術を行なうなど長期離脱を強いられた中村俊輔が9月上旬に復帰。チームの大黒柱と共に、不調のFW陣の奮起が待たれる 昨季6位と躍進した磐田も苦しい戦いが続いている。6月に右足の手術を行なうなど長期離脱を強いられた中村俊輔が9月上旬に復帰。チームの大黒柱と共に、不調のFW陣の奮起が待たれる

開幕直後にMFアダイウトンが故障により今季絶望となったことがひとつ。その穴埋めとして夏に補強したFW大久保嘉人がなかなかチームにフィットできないこと、試合中の暴力事件で契約解除となった左SBギレルメの代役エレンを獲得するまでに時間を要したこと、そして、故障がちな中村俊輔の欠場試合が予想以上に増加したことなどが挙げられる。

W杯後の成績はわずか2勝で、これは長崎や柏よりも悪い数字だ。また、総得点29点は、リーグ最低のサガン鳥栖に次ぐ低い数字で、川又堅碁(けんご)以外に得点源がないことが悩みの種だ。強豪との対戦も多く残されているだけに、このままJ2降格への道をたどる可能性もありうる。

そのほか、監督交代や情報漏洩(ろうえい)問題などゴタゴタが続くヴィッセル神戸や、戦力的に厳しい戦いが続く湘南ベルマーレなど、降格の危険性を秘めたチームは数多い。優勝争いが明確な図式になっている今季のJリーグは、最後まで熾烈(しれつ)を極める残留争いに注目してみてはいかがだろうか。