強敵・ウルグアイ戦で代表初ゴールを決めた堂安 律 強敵・ウルグアイ戦で代表初ゴールを決めた堂安 律

9月のコスタリカ戦でA代表デビューを飾ると、パナマとウルグアイを迎えた10月シリーズにも引き続き招集された堂安 律(どうあん・りつ)。

森保ジャパンが3連勝と好スタートを切ったなか、堂安もその波に乗り遅れることなく出場3戦目となったウルグアイ戦で待望の初ゴールを決めた。「自分らしいカタチだった」と振り返った、その一発に込められた思いとは――。

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■初ゴール後の10分はあんまり記憶がない

10月16日、埼玉スタジアム2002。A代表での初ゴールは、強豪ウルグアイを4-3と下した一戦で生まれた。

4日前の新潟でのパナマ戦に81分から途中出場していた堂安はこの日のウルグアイ戦に先発すると、2-2で迎えた59分、CKからのこぼれ球を拾い、右SB酒井宏樹とのワンツーでゴール前に侵入。ブロックに来たDFディエゴ・ゴディンをかわし、得意の右45度の角度から左足で丁寧にゴール左隅に流し込んだ。

あの場面は(酒井)宏樹くんからいいパスが来て、ファーストタッチで勝負アリでしたね。シュートを打つときに時間がフッと止まったような感覚がありましたし、不思議とどこに打っても入る気がしたんです。映像を見直してもいいコースに流し込めていましたし、ホンマに自分らしいカタチのゴールだったと思います。

ゴールを決める前は、案外、初ゴールは得意の左足じゃなくてヘディングとか(利き足じゃない)右足かななんて思っていましたけど、展開的にも大事な場面だったし、一生思い出に残るゴールになりました。

ただ、点を取った後の10分くらいはあんまり記憶がないんです......。もちろん、しっかりプレーしていたとは思うんですが、どんなプレーをしていたかはほとんど思い出せない。

リードした後はチームとして集中しなきゃいけないし、オレ自身、相手へのプレッシャーもより厳しくやっていこうと心に言い聞かせていましたけど、なんか(気持ちが)ふわふわしていたのかもしれません。

右サイドでコンビを組んだ宏樹くんは、なんとかオレに点を取らせてくれようとすごく気を使ってくれていましたし、おもしろかったのは(三浦)弦太くん。オレのゴールが弦太くんのミスから失点して同点にされた直後だったので、試合後は「律にチューしたいくらい」と言われましたから(笑)。

代表での初ゴールは、ガンバやフローニンゲンで最初にゴールを決めたときとも違う感覚でした。実は試合が終わった後にオトンとオカンの姿をスタンドに見つけたときはホンマに泣きそうになったんです。

だって自分が喜んでいる以上に、家族が喜んでくれるってこれほどうれしいことないじゃないですか。オレ普段はうれし泣きなんて絶対しないし、こんな感情は今までなかった。こういうのが人生のターニングポイントって言うんですかね。

ここだけの話、オレ、最近サッカーノートをつけ始めたんです。毎日だと続かないので、週に2、3回、課題や目標など思ったことを書き込んでいます。簡単な内容で、多くても5、6行。そのノートに試合当日の朝、「点取りたい」と書こうと思ったんですけど、なんか直感的に、書いたら「点取れる気せえへん」と思ってやめたんです(笑)。

書くと、そればかり意識してしまうので、もっとラフな気持ちで臨んだほうが今回はいいかなと思って。まあ試合が終わった後だからなんとでも言えますけど、オレとしてはそれがよかったのかなと思ったりしています。

■一番こだわるのはチームが勝てるかどうか

FIFAランキング5位のウルグアイから点が取れたのはよかったですが、オレとしてはそれ以上に90分通してハードワークできたことに自分自身の成長を感じましたし、試合に勝てたことが何よりだと思っています。

正直、コスタリカとパナマには勝って当たり前という雰囲気が世間にはあったと思います。だからこそ、ウルグアイ戦の結果が注目されていましたし、日本代表のユニフォームを着てピッチに立つ以上はどんなカタチでも絶対に勝たなければいけないという強い気持ちでいました。

合宿中、記者の方に「南野(拓実)選手が点を取っている」とか「中島(翔哉/しょうや)選手の調子がいい」などと聞かれることも多かったですが、オレはいつも同じように答えていました。「誰が点を取ってもチームが勝てば、それでいいんです」と。

メディアはライバル意識を煽(あお)りたいのかもしれないですが、オレはそうした意識はまったくなかったですね。だから、ウルグアイ戦で拓実くんが先制点を決めてくれたときも、誰が取ったとかは関係なく、何よりチームとして点が取れたことがうれしかったですから。もちろん、拓実くんや翔哉くんに負けないように、自分も結果を残すことができればうれしいですが、一番こだわるのはチームが勝てるかどうかです。

今の代表でのプレーは自分がボールを持っていないときも楽しいですし、今までになかった感覚があるのは確かです。でも、それより大事なのは、どうやって日本代表を強くしていくかということだと思うんです。

あと、意識するのはやっぱり同い年の相手選手。その意味で、ウルグアイには去年のU-20W杯で対戦したMFロドリゴ・ベンタンクール(ユベントス)らがいましたし、モチベーションが上がりました。

同い年の選手には負けたくないし、マッチアップしたウルグアイの4番の選手(MFマルセロ・サラッチ/ライプツィヒ)も試合前に20歳と聞いて、絶対チンチンにしてやろうと思っていましたから(笑)。

オレのことを欧州4大リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア)ではなく、オランダリーグだから活躍できていると思っている人もいるでしょうし、ウルグアイ戦で「堂安、どんだけできるねん?」っていう見方をしている人も多かった気がします。

もちろん、オレの実力はまだまだこんなものじゃないという意識もあります。ただ、ウルグアイ戦で少しはオレの実力の片鱗(へんりん)を見せられたのかなとは思っています。

そういえば、試合後のミックスゾーンで(ウルグアイのFW)エディンソン・カバーニにオレ、胸のあたりをぽんぽんってされました。

周りにいた人たちは「ええ!?」とか「おお!」って反応していたので、オレは「え? 何がですか?」と無表情でカッコつけようと思ったんですけどダメでした。あれは「オマエやるな!」ってことですよね? そんなことされたら、やっぱりうれしくてニヤけちゃうじゃないですか(笑)。

●堂安 律(どうあん・りつ) 
1998年6月16日生まれ、兵庫県尼崎市出身。ガンバ大阪を経て、現在はオランダ1部・FCフローニンゲンに所属。海外挑戦1年目の昨季はリーグ戦29試合に出場して9得点4アシストを記録。今年9月、満を持して日本代表デビュー