今シーズンのJ1リーグを総括する宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第74回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、今シーズンのJ1リーグについて。見事に川崎フロンターレの優勝で幕を閉じたJ1リーグを宮澤ミシェル氏に総括してもらった。

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川崎フロンターレがJ1リーグ2連覇を達成したけれど、予想通りというよりは、開幕当初の彼らの戦いぶりを思い出せば、よくやり遂げたなという方が強くあるよ。

今季はACLとJ1リーグ戦の二冠を目指して大久保嘉人や齋藤学を獲得してシーズンに突入したけれど、早々にACLはグループリーグで敗退。試合の主導権は握りながら、一発のカウンターで勝ち点を落としていただけに、ショックは大きかったと思うんだ。

だけど、W杯ロシア大会での中断期間にあった北海道キャンプで、守備のところをもう一度つくり直して、それがハマったよね。メンバー自体は変わらないけれど、プレスバックやトランジションをきっちりやるようになった夏場以降は、圧倒的な安定感で勝ち点を積み上げた。

ただ、川崎Fが強かったかというよりは、他が勝手にコケた感じもするよ。もちろん地力は高いし、成熟度でもほかよりもアドバンテージがある。だけど、サンフレッチェ広島はパタッと得点が奪えなくなって自滅。鹿島アントラーズもACL王者になったとはいえ、J1では外国人選手が思ったような働きを見せられずにいたよね。

そうしたなかで、今季のJ1で存在感を示したのはコンサドーレ札幌だよね。去年まで浦和レッズを率いたペトロビッチ監督を迎えた1年目で、彼らが台風の目になるなんて予想だにしてなかった。

FWにはジェイと都倉賢がいて、2シャドーには三好康児とチャナティップ、アウトサイドMFには右の駒井善成、左の菅大輝がいたけれど、好成績の要因はボランチを宮澤裕樹と荒野拓馬でしっかりさせたことが大きかったね。

小柄なチャナティップにとっては2シャドーのポジションは天職だし、ペトロビッチ監督が来て彼のもとでプレーできたことはキャリアの大きな転機になったよね。

監督との選手のめぐり合わせは運命みたいなものだけど、それによって選手は息を吹き返すこともあるし、ダメになることもあるからね。日本代表もそうだったでしょ。ハリルホジッチさんから西野朗さんに監督交代したとたんに、ベテラン勢が息を吹き返した。

J1でもガンバ大阪が宮本恒靖監督を迎えたことで、FWアデミウソンが復調したからね。それまではさっぱりだったのが、新監督のもとで新たな役割を得たことで自分らしさを取り戻しつつあるよ。意気に感じられる環境かどうかは、日本人だけではなく、世界中どこの国の人でも一緒だからね。アデミウソンにとって、宮本監督のもとではプレーしやすかったんだろね。

それにしても宮本監督への監督交代は大成功だった。就任当初は苦しんで8月末の時点では最下位。降格の第一候補だったのが、そこから守備からチームをつくりなおして9連勝。しっかりチームをつくる合宿を経た来季、宮本監督がどんなチームをつくるかは、いまから楽しみだよ。

それと横浜Fマリノスだね。今季からポステコグルー監督を迎えて、ポゼッションサッカーに路線変更したことで開幕当初は残留も難しいと思われたけど、ゴールが奪えるようになって安定して勝ち点を伸ばした。来季も同じ体制のもとでやるようだから、成熟度を高めていければ、いずれは川崎Fのようになっていくかもしれないよね。

ただ、一寸先は闇なのがJ1リーグだからね。17年シーズンは快進撃を見せた柏レイソルが、今季は降格圏に沈み、昨季はJ2降格危機に瀕したサンフレッチェ広島が、今季の優勝争いに加わるなんて思いもよらなかったからね。

どこのクラブに何が起きても不思議じゃないだけに、来シーズンのJ1リーグのドラマがどうなっていくのか、いまから楽しみでならないよ。

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