来季こそはイニエスタやトーレスを輝かせるチームづくりに期待したいと語るセルジオ越後氏

今季のJリーグの全日程が終了した。早々と川崎が抜け出した優勝争いとは対照的に、残留争いは史上まれに見る大混戦。最後は得失点差で磐田がJ1参入プレーオフに回ったけど、5チームが同じ勝ち点で並ぶとは驚いた。ここまでの僅差なら、得失点差で順位を決めるのではなく、この5チームによるプレーオフを見たいなと思ってしまったよ。

さて、今季を振り返ると、大きなトピックとしてイニエスタ(神戸)とフェルナンド・トーレス(鳥栖)、ふたりの大物外国人の加入が挙げられる。

それぞれ欧州のビッグクラブで長く活躍し、スペイン代表ではW杯優勝経験もある。誰もが認める本物のスターだ。ネームバリューに加えて高額の年俸もあり、話題性は抜群だった。

両チームの試合はアウェーでも観客動員が大幅増、Jリーグ全体のメディア露出も増えるなど、多くのポジティブな要素をもたらしてくれた。各チームに大物外国人がいたJリーグ初期の盛り上がりを思い出したね。

ただ、彼らにしても、ひとりで、しかも短期間にチームを劇的にレベルアップさせられる魔法使いではない。また、彼らをピッチ上で生かすためのサポートも不十分で、両チームとも成績は低迷。残念ながら、プレー面では投資に見合う効果は得られなかった。

イニエスタはさすがという技術を随所に見せた。でも、彼のパスの受け手がいない。頼みのポドルスキは故障で欠場することが多く、ウェリントンともいまいち噛(か)み合わなかった。さらにイニエスタ自身も運動量の多いタイプではないだけに、周囲で汗をかける選手が必要だった。

いずれにしても、彼にかかる負担が大きすぎた。毎年優勝争いをするバルセロナにいたイニエスタにとって、こんなに勝てない経験は初めてのはず。苦しいシーズンだっただろう。

また、トーレスの場合はイニエスタと逆で、彼にいいパスが出てこなかった。残留争いをするチームにあって、守備的な役割も多く求められ、ゴール前でシュートを決めるという本来の仕事に集中できなかったね。

来季に向けては、早くも神戸が元スペイン代表で南アフリカW杯得点王のビジャの獲得を発表した。当然、イニエスタの負担を減らす狙いだろう。でも、いくらビジャといえどももう37歳。ピークは過ぎている。契約期間は1年間ともいわれ、どこまで継続して活躍できるかは未知数だ。

ポドルスキに始まり、イニエスタ、ビジャと神戸の補強には夢があるけど、その一方でネームバリュー優先に傾きすぎているようにも感じる。そういう意味で神戸に本当に必要なのは、チームの戦術に合う有力な日本人選手の補強だと思う。今の神戸はイニエスタと周囲の日本人選手のレベルの差が大きすぎる。実際、イニエスタとポドルスキ以外、神戸の選手の名前を知らない、という人も多いんじゃないかな。

先日、元日本代表のMF山口(C大阪)の獲得に動いているという報道が出たけど、そうした代表クラスの日本人選手を獲得し、チーム全体のレベルを底上げすることが重要。それも30歳を過ぎたベテランではなく、神戸の中心として長くプレーできる選手が欲しい。同じことは鳥栖にもいえるだろう。

せっかくお金を使って大物外国人を獲得しているのだから、来季こそは彼らを輝かせるチームづくりに期待したいね。

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