大迫頼み。各メディアがそう指摘していたように、アジア杯での日本代表は、明らかにストライカーの頭数が足りなかった。また、Jリーグには昨季のジョー(名古屋)、フェルナンド・トーレス(鳥栖)に続き、今季もビジャ(神戸)、レアンドロ・ダミアン(川崎)と次々に大物外国人FWが加わっている。その意味で今季のJリーグは、日本人ストライカーがどこまでアピールできるのかに注目したい。
なかでも僕が期待しているのは、小林(川崎)、杉本(浦和)、鈴木(鹿島)、優勝候補3チームのストライカーだ。
3連覇を狙う川崎は2012年ロンドン五輪で得点王に輝いたレアンドロ・ダミアンを獲得した。187cmの長身で足元の技術もある。細かいパスワークで相手の守備を崩す川崎のサッカーにダミアンの高さが加わり、攻撃の幅が広がった。そうしたなかで、昨季までワントップとして結果を出してきた小林が、どんなプレーを見せるか。
小林は以前、2列目でプレーしていたし、ワントップで起用されるようになってからも前線にずっと張っているわけじゃなかった。相手との駆け引きがうまく、柔軟に位置取りを変えながらプレーしていた。ケガで代表を辞退することが多いけど、Jリーグで継続的に結果を残していることはもっと評価されるべき。ダミアンとのコンビが噛み合えば、今まで以上に持ち味を発揮するかもしれない。
一方、日本代表が大迫頼みなら、昨季の浦和の攻撃は興梠(こうろき)頼み。それを解消すべくC大阪から獲得したのが杉本だ。とはいえ、このふたりが前線に張りついてしまうと、ふたりにボールを預けるだけの単調な攻撃になるし、お互いのプレーエリアが狭くなる。うまく機能しないだろう。
だから、前に杉本、少し下がって興梠という位置関係でスムーズにプレーできるかが共存共栄のカギ。連係がうまくいけば、32歳の興梠の負担も減るし、ふたりに多くの得点チャンスが生まれ、チームの課題も解決する。
杉本は一昨季、最後まで小林と得点王を争ったのに(22点)、昨季はわずか5点。チャンスでことごとく外していた印象がある。ロシアW杯に落選し、モチベーションを落としていたのかもしれない。でも、サポーターの見る目が厳しい浦和では、期待も大きいし、すぐに結果を求められる。それがプラスに働くか、マイナスに働くか。彼にとっては、代表に復帰する最後のチャンスになるんじゃないかな。
そして、昨季アジア王者の鹿島の鈴木は前述の小林、杉本とはタイプが異なる。決して華麗ではない。前線で体を張って、泥くさくゴールを狙う。年々アップしている決定力はもちろんだけど、やっぱり気持ちの強さが一番の魅力。昨季のアジアチャンピオンズリーグでは、最前線で相手チームの激しいマークを受けていたけど、一歩も引かなかった。そのプレーが、コンビを組むセルジーニョに多くの得点チャンスをもたらした。
アジア杯をケガで招集辞退となったのは残念だったけど、年齢的にも(22歳)、これからの代表の主力候補として名乗りを上げてもらわないと困る。世代交代を進める鹿島の新たな顔としても、今季は爆発が期待されるね。
大物外国人FWが居並ぶなか、日本人選手が得点王を獲ったら実力は本物だし、何よりJリーグが盛り上がる。ぜひ頑張ってほしいよ。