中日・根尾昂(ねお・あきら)や日本ハム・吉田輝星(こうせい)をはじめとする期待のルーキー、あるいは巨人・丸佳宏や広島・長野(ちょうの)久義といった移籍選手たちに話題が集まった春季キャンプも終了。
しかし、この1ヵ月間、人知れず(?)どこよりも充実した練習を続けていたのは、昨年セ・リーグ2位のヤクルトだ。
スポーツ紙デスクが言う。
「なかでも注目は、日本ハム・清宮幸太郎と同期のプロ2年目・村上宗隆。昨年は2軍でじっくり鍛えられ、9月に1軍初昇格すると初打席初本塁打を記録。
今キャンプでは打撃練習で豪快な打球を連発し、評論家からも『2年目時点で比べたら、DeNA・筒香嘉智(つつごう・よしとも)より村上のほうが上』との評価が聞かれるほどです」
本人もその期待に応える気満々で、「将来は清宮世代ではなく、村上世代と呼ばれるような活躍をしたい」とビッグマウスも魅力だ。
さらに4年目、21歳の廣岡大志(たいし)も「パンチ力なら村上以上。貴重な右の長距離砲という点でも要警戒」(セ・リーグ某球団スコアラー)という存在。本来は遊撃手だが、今季は一塁定着を目指す。
「社会人出身の2年目、25歳の塩見泰隆も見逃せません。彼もパンチ力が魅力で、昨オフは台湾冬季リーグに参加し最優秀打者に選ばれました。まだ粗さはあるものの、伸びシロの大きさという点では小川淳司監督の期待も大きい」(前出・デスク)
塩見は公称身長179cm、体重76kgだが、実際に見ると数字以上に大きく感じる。いや、塩見のみならず、ヤクルトの野手たちは今季、そろって「でかくなった」印象だ。
「ヤクルトは小川監督、宮本慎也ヘッドコーチ、石井琢朗(たくろう)打撃コーチらが就任し首脳陣が入れ替わった昨年の春季キャンプから、重いソフトボールのようなボールを使ってティー打撃をしたり、鉛の入ったジャケットを着て打撃練習するなどパワーアップに努めてきました。
それも朝8時から夜8時までとみっちり。そんなハードスケジュールは今年も一緒でした。その効果が体の大きさとなって表れてきたんですよ」(在京テレビ局関係者)
練習のキツさは守備も同じ。全体、個人合わせてノックがなんと3時間半というメニューの日もあった。それも最後には守備担当コーチのみならず、宮本ヘッド、石井打撃コーチも参加して、コーチ3人がノックの嵐を浴びせる"地獄の特訓"も......。
「練習量は、12球団見渡してもヤクルトが一番では。それでも村上はノッカーがミスると平気でヤジるなど、ただキツいだけでなく練習に活気があり、明るかった」(テレビ局関係者)
首脳陣刷新1年目の昨季、さっそく2位に躍進したヤクルト。今季はさらなる手応えを感じているはずだ。あるコーチは「これだけ若手が育ってきたら、(故障がちな)ハタケ(畠山和洋)やシンゴ(川端慎吾)に頼らず戦える」と言い切った。
「長年の課題である投手陣でも、日本ハムから移籍してきた右腕・高梨裕稔(ひろとし)と、4年目で21歳の左腕・高橋奎二(けいじ)が戦力として期待されています。特に高橋は、先発でふたケタ勝ってもおかしくないポテンシャルを秘めています」(前出・スポーツ紙デスク)
4連覇を狙う広島、新監督を迎えた巨人、阪神の喧騒(けんそう)に隠れているが、ポテンシャル抜群の若い力が爆発すれば、ヤクルトは台風の目どころか"裏本命"に躍り出るかもしれない。