鹿島アントラーズについて語った宮澤ミシェル氏 鹿島アントラーズについて語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第89回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、Jリーグ開幕から好調の鹿島アントラーズについて。CBコンビが抜けた中での今回のスタートに宮澤ミシェルは期待を寄せているという。

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鹿島アントラーズがシーズンをいい形でスタートを切ったね。リーグ戦は2勝1分1敗。プレーオフから勝ち上がったACLは2試合を終えて1勝1分け。昨季限りで小笠原満男が現役引退し、不動のレギュラーだったCBコンビの昌子源と植田直通が抜けて、新たな時代を迎えるなかでは、これ以上のスタートはないんじゃないかな。

昨年はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で優勝したとはいえ、早々にリーグ戦のタイトル獲得の芽が消えたことは、彼らにとっては不本意な結果だったと思うんだ。それだけに今年はリーグタイトルの奪還を強く意識しているはずだよ。

普通のクラブなら世代交代のタイミングだからと、タイトル獲得のプレッシャーから逃げがちなんだよ。だけど、鹿島の場合は逆にタイトル奪取に燃えている。それがJリーグを8度も制覇してきた王者たる所以なんだな。

今季から新たにキャプテンに就任した内田篤人は、キャンプでボールを蹴らずに階段を何本も登って足腰を鍛えていた姿が印象的だったね。何度もヒザの故障を乗り越えてきた内田が、シーズン全試合をフル出場するのは無理なことだし、首脳陣も考えていないと思う。

だけど、本人はそこに向けてしっかりと体をつくっている。その姿を若い選手たちが見ていることが重要で、これが鹿島の伝統として受け継がれていくんだなって感じたね。

今季から背番号10をつけている19歳の安倍裕葵なんて、その最たる選手だよ。彼はチームの責任を背負いたがっているからね。海外志向は持っているけれど、その前に小笠原のようにチームの勝敗を背負える人間になりたいというのが全面にあふれている。

もちろんプレーも素晴らしいよ。スピードがあるし、頭の位置が上下せずにスピードのスイッチを切り替えられる。こういう動きができるアタッカーはDFにしたら厄介。突然シフト・アップするから、ついていくのが難しいんだ。その武器があって、チームの勝敗を背負う覚悟もある。心強い存在だよ。

CBでも流通経済大付属高から入団した18歳のルーキー・関川郁万がいいんだ。昨年から練習生で鹿島のトレーニングを経験していたとはいえ、プロ1年生が練習で堂々とプレーしている。現実的には、夏場以降から試合で使われると思うけど、DF陣に緊急事態が発生したら、いつ先発で起用されても不思議はないレベルにあるよ。

ビジャやジョーといった世界でバリバリやってきたFWを相手にどこまで通用するか見たいし、その経験をした関川がその後の成長をどう遂げるのかは、いまから楽しみだよ。

FWでは鈴木優磨が故障で出遅れているものの、新加入の伊藤翔がACLとリーグ戦の6試合で7ゴールを決めている。FWには土居聖真もいるからね。ポジションを争っているセルジーニョ、金森健志、山口一真、それに故障中の鈴木優磨は、試合に出たら目の色を変えてゴールを獲りに行くだろうね。チーム内での競争でFW陣はシーズンが深まるにつれレベルアップしていくんじゃないかな。

今季の鹿島にとって頼もしいのは、レオ・シルバやレアンドロ、セルジーニョ、GKのクォン・スンテの外国籍選手たちもコンディションは整っていることだね。累積警告などで彼らが試合に出られなくなっても、遠藤康が控えに回るほどベンチの選手は個々のレベルが高いから心配はないね。

加えて、故障の影響で現在は戦力としてフル稼働できていない三竿健斗や鈴木優磨もやがては戦列に完全復帰してくる。そう考えると、川崎フロンターレの3連覇を止める筆頭候補は、やっぱり鹿島アントラーズな気がしてならないよ。

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