世界180ヵ国以上で放送されているWWEの最大イベント『レッスルマニア』。今年も7日(現地時間)に『レッスルマニア35』が開催され、大盛り上がりを見せたが、その週末の13日、日本の「週プレ酒場」(新宿歌舞伎町)でも『J SPORTS Presents! WWE レッスルマニア35 トークイベント』が行なわれ、豪華ゲストによる熱いWWEトークが繰り広げられた。
第一部では、まず藤波辰爾(ふじなみ・たつみ)が登壇。WWE殿堂入りレスラーということもあって、さっそくプロレス解説者である鈴木健.txtとプロレス実況を務める清野茂樹から、2015年に行なわれた受章セレモニーについてトークを求められる。
「空港から殿堂入りの空気が漂っていて、税関職員に握手を求められた」
「空港からホテルまで、先導車がつくんですよ。それも白バイが20台ぐらい。一番ビックリしたのは、高速道路を止めるんですよ」
など、セレモニーが始まる前からその規模の大きさに驚いたことを告白した藤波。
そして1万8000人のファンが集まった当日のスピーチは、
「(原稿の内容が)スラスラって出てこなくて、テンパって。アカデミー賞とまったく同じなんですよ。いまのスターたちが目の前に座っててね、その後ろにファンの方が日の丸持って(見てる)。その日の丸がうれしくてね」
と当時を思い浮かべるように振り返り、翌日に参加した『レッスルマニア31』でも「ジョン・シナやランディ・オートンがみんな見ていたんですね、僕の映像を。彼らが控室に入る前に鞄をおいて、飛んできて祝福してくれた」とうれしそうに明かした。
トークはさらにさかのぼり、1978年に行なわれたWWWFジュニアヘビー級王座戦についても「自分の人生を変えてもらった」としみじみ回顧。王者カルロス・ホセ・エストラーダを相手に、大雪を溶かすような熱戦として語り継がれるこの試合は、同時に「ドラゴンスープレックス」が初めて公開された戦いだ。しかし、成功したのは初めてで、
「(ドラゴンスープレックスは、カール)ゴッチさんに教わった。でもダミー人形を使った真似事。レスラーにやったのは、ぶっつけ本番。あとでああいう形になるのかって分かった。ただ、たまたまどっかで無意識に、勝敗抜きに何かひとつ(結果を)、リングに上がっているという(意味を)、それだけは意識してたんでしょうね」
と会場を驚かす意外な告白。
さらに、試合後も誰も見たことのない投げ技に静まり返る会場やレスラーに「スーパースター・ビリー・グラハムとか、ペドロ・モラレスとか往年の選手がいるなかで、皆シーンとしている。気まずい雰囲気で、刺さるような視線がくる。唯一『よくやった!』と喜んでくれたのは(WWE創業者の)ビンス・マクマホン・シニアで、それで救われた」と当時の感情を吐露した。
続く第二部では、WWEファンの芸人、ハチミツ二郎(東京ダイナマイト)と宮戸洋行(GAG)が登壇。今回の『レッスルマニア35』を現地観戦していたハチミツ二郎からは、観戦を楽しむ方法や試合中の雰囲気が語られ、中継では映らない現地の様子を会場のファンと共有した。
そして宮戸は、「あなたの知らないWWE日本語字幕の世界!」と題し、日本語翻訳の担当者から聞いたエピソードを披露。オフィスがなく世界中で35人のスタッフがいることや、24時間以内に書き起こしが行なわれることに会場も驚き。7時間を超えた『レッスルマニア35』の日本語翻訳には約100時間かかり、「ほぼ徹夜でトイレもご飯も後回し」だったと明かした。これにはハチミツ二郎も、「ブラックな匂いがする」とツッコみ、会場を笑わせた。
特に反応があったのはキャラクターについて。WWEといえば、個性豊かなキャラクターもひとつのウリだ。ただ選手が国籍を変えたことで訛(なま)りを変えたり、キメ台詞をどんなニュアンスで訳すか議論したりするなど、苦労も面白さもあるそう。マニアックな裏話に会場のファンも満足気だった。
2時間に渡り行なわれた今回の『J SPORTS Presents! WWE レッスルマニア35 トークイベント』は、J SPORTSオンデマンドで会員限定無料公開中。また、『レッスルマニア35』の日本語字幕版も配信されている。