今季のチャンピオンズリーグについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第97回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、今季のチャンピオンズリーグについて。アヤックスの活躍や、プレミアリーグ勢の躍進、リバプールの大逆転勝利など、決勝トーナメントに入ってから波乱続出となった今大会を宮澤ミシェルが振り返る。

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チャンピオンズリーグの準決勝は、2試合ともまさかの展開だったね。ふたつの大逆転劇を見ながら、本当の強さとはなんだろうって考えさせられちゃったよ。

トッテナムはホームでの初戦を0-1でアヤックスに先勝されたけど、アウェイでの第二戦を3-2で勝利。トータルスコアは並んだけれど、アウェーゴールの差で初めての決勝に勝ち進んだ。

トッテナムは故障者が多くいて戦力が揃わないなかでも地力の違いを見せたね。今季のプレミアリーグで圧倒的な強さを見せたマンチェスター・シティを、CL準々決勝で下しただけのことはあったよ。

あと一歩で負けたけれど、アヤックスはCL決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリードを粉砕して、準々決勝でもユヴェントスを破る番狂わせ。彼らが今季のCLをおもしろくしてくれたのは間違いなかったね。

だけど、そのトッテナム対アヤックスよりも、すさまじい逆転劇を見せたのがリバプールだったね。バルセロナを相手にカンプ・ノウでの初戦は0-3で完敗。いくら2戦目がホームのアンフィールドとはいえ、普通なら3点のビハインドは跳ね返せないよ。

それが2戦目は4-0でリバプールが勝利して、トータルスコアで上回って2年連続の決勝進出を決めた。しかも、この試合は攻撃の要のFWモハメド・サラ―、FWロベルト・フェルミーノを欠くなかでの勝利だからね。やっぱり彼らも強大な戦力を揃えているってことなんだよな。

リバプールは1点目が大きかった。リバプールの左サイドから右サイドへ大きくサイドチェンジしたパスが届かなかったところを、バルサの左SBのジョルディ・アルバがヘディングでバックパスしたんだけど、そこをしっかりと読んで、かっさらって1点目を奪ったよね。

1点目が決まらないことには何も始まらないし、あの1点でアンフィールドのサポーターが奇跡を信じる力を得ちゃったよな。前線からプレッシャーをガンガンかけて、それを試合終了までやり切ったし、やり切れるレベルの選手がいたってこと。

リバプールのGKアリソン・ベッカーもギリギリのところで好セーブを連発したね。彼は去年もローマでバルサに土をつけているでしょ。そういう流れみたいなものを持っている選手なのかもしれないね。

バルサは去年もCL準々決勝でローマを相手に、ホームでの初戦に4-1で先勝しながら、アウェイは0-3で負けてトータルスコアでも逆転負け。それがあったのに今年の大敗でしょ。2012-2013シーズンの準決勝でバイエル・ミュンヘンに0-4、0-3で負けたのを思い出しちゃったよ。

ラ・リーガでは他のチームとの実力差があるから、バルサは相手に分析されても足元をすくわれることは滅多にないけれど、CLの決勝トーナメントに勝ち上がってくるようなチームはどこも戦力がしっかり揃っている。あのバイエルン戦もそうだったけど、相手がしっかりとバルサの戦い方の特長を分析して、着実に実践できるレベルの選手を擁していると簡単には勝てないってことなんだよな。

決勝はリバプール対トッテナムになったけど、プレミア勢同士の対決は11年ぶりで、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーの2007-2008シーズン以来でしょ。手の内を知り尽くした同士の対決だから、意地とプライドがぶつかり合って好ゲームになるだろうな。

それにしても今季はプレミア勢が躍進したね。マンチェスター・Cとマンチェスター・UもCLでベスト8まで進み、ヨーロッパリーグでもチェルシーとアーセナルが決勝まで勝ち上がった。プレミア勢にしたら、これまで長くスペイン勢の後塵を拝してきただけに、胸がすく思いなんじゃないか。

ただ、今年の結果だけでプレミア時代の到来と考えるのは早計な気がするよ。バルサもレアル・マドリードも来季は大きくチームをつくり変えるだろうからね。

まあ、それについては次回以降に触れるとして、まずは今シーズンの集大成となる6月2日のチャンピオンズ・リーグの決勝を楽しもうじゃないか。

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