どちらの大会に呼ぶにしてもメリット、デメリットがある。日本代表の森保監督にとっては、難しい決断だったはず。
U-20W杯(ポーランド、現地時間23日開幕)の日本代表メンバーが発表され、昨秋のアジア予選(U-19アジア選手権)でチームの中心としてプレーしたMF久保(FC東京)、MF安部(鹿島)、GK大迫(広島)が選外となった。3人はその代わりに、6月開幕の南米選手権(ブラジル)にA代表として招集される見込みだという。
海外組も国内組も招集難航が指摘されていた南米選手権は結局、東京五輪世代(U-22代表)と五輪のオーバーエイジ枠候補が中心になるようだ。これまで五輪代表の強化は遅れ気味だった。それを考えれば、本番でのメンバー入りも期待される前述の3人をこのタイミングで試そうと考えるのはおかしなことではない。
ただ、個人的な気持ちを言えばU-20W杯にはベストメンバーで臨んでほしかった。Jリーグで上位争いをするチームの主力である久保と安部が、世代トップを決める真剣勝負の舞台でどこまで戦えるのか、エースとして重圧のかかる状況で共に期待どおりのプレーができるのか、それを見てみたかったからだ。
もちろん、A代表の一員として、南米の厳しいアウェー戦を経験することにも大きな意味がある。それは間違いない。ただ、彼らが南米選手権で結果を出せなかったとしても「初のA代表だし、仕方がない」「まだ早かった」で終わってしまう。その評価の差は大きい。
最悪なのは、南米選手権に連れていったのに、ほとんどプレー時間を与えられずに終わる消化不良のパターン。五輪世代の中盤は激戦区。すでにA代表で実績のある堂安(フローニンゲン)、横浜Fマで好プレーを見せている三好、さらにオーバーエイジ枠候補の招集もある。
客観的に見れば、久保と安部のスタメン出場の可能性は高くない。特に久保は、堂安と同じ左利きでポジションもかぶる。そのあたりは当然、森保監督も考えているはずで、どういう使い方をするのかは見ものだ。
一方、主力3人を欠いてU-20W杯に挑むU-20日本代表は、意地の見せどころ。残念ながら開幕前の時点で、世間の注目度、期待度は決して高くない。果たして、顔と名前を覚えられている選手がどれだけいるか。そうした評価を覆すには結果を出すしかない。
グループリーグ突破とか小さなことを言わず、できるだけ上を目指してほしい。ベスト8、ベスト4まで勝ち上がれば、メディアも大きく取り上げてくれる。久保や安部がいなくても、俺たちはやれるということを見せてほしい。招集されたメンバーは、昨年のアジア予選を勝ち抜いたメンバーが大半。チームがひとつにまとまって戦えば、きっといい結果を出せるはずだ。
個々を見ても、湘南ですでにチームの中心として活躍するMF齊藤未や、横浜FC(J2)で強くて速くてうまいプレーを見せている17歳のMF斉藤光など面白い選手がいる。
彼らにとっては来年の東京五輪に出られるかどうか、このU-20W杯が最後のチャンスになるかもしれない。だからこそ、結果を出してアピールしなければいけないし、このメンバーの中から、ひとりでも多くの選手が五輪代表に這(は)い上がることが、五輪代表のレベルアップにつながる。ぜひ頑張ってほしいね。