今春のGⅠは「圧倒的1番人気が飛び、その馬じゃないほうの○○が来る」レースが続いている *写真はイメージです

上半期のGⅠシリーズのラストを飾る"春のグランプリ"宝塚記念が6月23日(日)に阪神競馬場で開催される。ファン投票1位のアーモンドアイ(牝4)の出走こそないものの、2位のレイデオロ(牡5)、3位のキセキ(牡5)、4位のアルアイン(牡5)らGⅠ馬6頭がエントリー。まさに春競馬のクライマックスにふさわしいレースとなりそうだ。

宝塚記念といえばファンの間で今も語り草になっているのが、2003年にウインズ新橋に現れた通称"ミラクルおじさん"。正体は不明ながら、前日発売でヒシミラクルの単勝馬券(最終オッズ16.3倍)を1200万円購入し、約2億円の配当を手にした伝説の馬券師だ。

2億円ゲットとはいわないまでも、昨年も7人気-10人気-12人気で決着し、3連単は49万馬券が飛び出した宝塚記念だけに、今年も高配当を狙っていきたい。

思えば今春のGⅠレースは荒れに荒れた。高松宮記念では3連単が約450万円という超高配当が飛び出したほか、令和に入って東京競馬場で行なわれた5週連続GⅠシリーズでも、4週目まで連続して3連単が10万円以上という高配当。安田記念では、あのアーモンドアイまでもが3着に敗れる波乱となった。

いずれのレースでも波乱を演出した激走馬にはある共通点があった。それはズバリ"じゃないほうの馬"

まずは3連単が41万円以上の配当となったNHKマイルカップ。ここで1番人気に支持されたのは桜花賞馬のグランアレグリア(牝3)だったが、あえなく馬券圏外の5着敗退。レースを制したのはグランアレグリア"じゃないほうのGⅠ馬"アドマイヤマーズ(牡3)だった。

続くヴィクトリアマイルでは1番人気は4歳牝馬のラッキーライラックだったが、勝ったのは"じゃないほうの4歳馬"のノームコア(牝4)でラッキーライラックは4着敗退。

日本ダービーでも1番人気のサートゥルナーリア(牡3)が4着に敗れ、"じゃないほうの角居厩舎(きゅうしゃ)"ロジャーバローズ(牡3)が勝利。

安田記念は1番人気のアーモンドアイがスタートの不利もあり3着敗退。勝ったのは"じゃないほうのシルク・ホースクラブ所有馬"インディチャンプ(牡4)だった。

極めつきは、日本でも馬券発売が行なわれたアメリカのベルモントステークス。勝利したのはプリークネスステークスを勝ってここに臨んだウォーオブウィル......"じゃないほうの同厩舎"サーウィンストンで3連単は22万馬券に。

このように"じゃないほうの馬"の激走は今春の世界的トレンドと言っても過言ではなく、この流れはきっと宝塚記念でも続くはずだ。

■エタリオウじゃないほうのステゴ産駒に妙味

「確かに"じゃないほう"はこの春のトレンドです。狙いは悪くないと思います(笑)」

そう話すのは『デイリー馬三郎』の木村拓人記者。そこで木村記者に、週プレが見つけた"じゃないほう"のお宝ホースをジャッジしてもらおう。

まず、今年の宝塚記念で1番人気になりそうなのは、これまでに日本ダービー、天皇賞・秋とGⅠを2勝しているレイデオロ。同馬はひと口クラブ・キャロットファームの所有馬だが、同クラブからはもう一頭、リスグラシュー(牝5)も出走予定。つまり"レイデオロじゃないほうのキャロット所有馬"というわけだ。

しかもこのリスグラシューはレイデオロと同じく、前走は海外のレースだった。つまり"じゃないほうの前走海外遠征馬"でもある。

「リスグラシューは時計のかかる馬場も合いますし、馬場の傾向からも宝塚記念は向くと思います。気で走る馬ですので、遠征明けでも問題ないでしょう。実力、実績的にも問題なく、配当的にも面白い存在だと思います」

"レイデオロじゃないほう"の馬がもう一頭。"じゃないほうのダービー馬"マカヒキ(牡6)だ。今年は京都記念で3着、大阪杯でも4着と復調気配を見せている同馬だが、木村記者はこれをバッサリと斬り捨てる。

「大阪杯では道中はアルアインの2列後ろの内で我慢。結果、通った場所がよかったために4着を確保できたように見えました。全盛期のマカヒキならば、あんなもんじゃありません。完全復活とはまだ言えないでしょう」

今回、レイデオロと人気を分けそうなのが、おととしの菊花賞馬キセキ。"この2頭じゃない2年前のクラシック勝ち馬"が、おととしの皐月(さつき)賞馬アルアイン。前走の大阪杯では9番人気を覆して、皐月賞以来の勝利を挙げているが、この馬にも木村記者は手厳しい。

「アルアインもマカヒキ同様、道中のコース取りで、『うまくいった』感じの勝利に見えました。それに2000mは守備範囲でも2200mについては微妙じゃないかなと思います。それと前走の勝利で、そこまで人気薄にもならないのでは」

一方、強いといわれる4歳馬で人気の一角になりそうなのが昨年の菊花賞2着のエタリオウ(牡4)。父ステイゴールドは自身も宝塚記念で2着(9番人気)と3着(7番人気)があり、産駒(さんく)もオルフェーヴル、ゴールドシップ、ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタで計5勝を挙げている"宝塚記念血統"

ただし、狙いたいのはスティッフェリオ(牡5)とショウナンバッハ(牡8)の"エタリオウじゃないほうのステイゴールド産駒"。特にスティッフェリオはGⅠ勝ちこそないものの、昨年から今年にかけて、福島記念、小倉大賞典と重賞を2連勝している。 

「スティッフェリオは先行力もあり、いかにも宝塚記念で好走しそうなタイプ。欲を言えば前走の大阪杯はもう少し頑張ってほしかったところですが、終始外を回って0秒5差の7着ならば悲観する内容ではありません。アルアインやマカヒキと同じ場所を通れば、もっとやれたと思います。

今回も前々でうまく運べば、上位との差ももっと詰められるはずです。もう一頭のショウナンバッハも、ここ2戦はデキもよく、12番人気ながらメイS3着、エプソムカップ4着とよく走っています。2200mの距離もいい。この2頭は血統面も含めて面白い存在で、勝つまでは難しくともヒモ穴で狙いたい一頭です」

最後に木村記者にイチオシの穴馬を聞くと、自信たっぷりに答えてくれた。

「このメンバー、そして宝塚記念となれば、クリンチャー(牡5)一択です」

クリンチャーは3歳時には菊花賞でキセキの2着となっており、昨年は天皇賞・春で3着に好走。格では負けていないし、人気面でも盲点となりそう。

「10着だった前走の天皇賞・春は高速馬場で、この馬向きのものではありませんでした。それに陣営もちょっと色気を持ってしまったのか、前走はレース前にビッシリと調整せずに、見た目にも体に余裕があり、レースでも反応が鈍かったように思います。

その分、今回はしっかりとつくってくるのではないでしょうか。時計のかかるこの時期の阪神の2200mなら、ディープスカイ産駒のこの馬にピッタリ。日経賞が休み明け、前走も度外視と考えれば、十分に一発あると思います」

レイデオロやスワーヴリチャードは今年、海外レースに挑戦したが、クリンチャーは昨年、凱旋門(がいせんもん)賞に挑戦(結果は17着)。つまり"今年じゃないほう"の海外遠征経験馬でもある。

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