FC東京に本気で優勝を狙う気があるのかどうかが問われていると語るセルジオ越後氏

そこまで個の力に依存していたわけではないし、世間で言われるほど"久保ロス"の影響は大きくないと思う。それでも、FC東京のJリーグ初優勝に向けての道のりは険しいものになるだろう。

今季開幕直後から首位を走り続けてきたFC東京が7月14日、消化試合が1試合少ないながらも3位につける2季連続王者・川崎と対戦した。結果は0-3で完敗。優勝争いを占う大一番で両チームの明暗が分かれた。

結論から言えば、この試合は川崎のプレーが素晴らしかった。前半20分にセットプレーから失点するまでは、FC東京の戦い方も悪くなかったんだけど、その後は余裕を持った川崎が完全にペースを握った。

もともとのボール回しのうまさに加えて、ボールを奪われてからの守備への切り替えが早く、前線からの激しいプレスがハマった。先制点を決めた小林 悠はさすがの貫禄を見せたし、2ヵ月ぶりに先発出場した(中村)憲剛もやりたい放題といった感じで好プレーを連発。選手たちは楽しかったんじゃないかな。

一方のFC東京は、自分たちがやるべき堅守速攻のサッカーを相手にやられた。ホームなのだから、もっと積極的にボールを奪いに行くべきなのに、自陣に引きこもりすぎ。だから、ようやくボールを奪ってもカウンター攻撃につなげられない。そして、中途半端にパスをつなごうとして、悪い形でボールを奪われる。そんな悪循環に陥っていた。ディエゴ・オリヴェイラと永井、自慢のツートップにまったくいいパスを出せなかった。

今後に向けて、川崎には好条件がそろっている。すでにアジアチャンピオンズリーグに敗退しているので国内の戦いに専念できる。選手層も厚い。また、体力勝負ではなくメリハリの利いたサッカーができるので、暑い時期でも消耗が少なくて済む。何より一昨季、昨季と優勝し、選手たちが"勝つ味"を知っていることが大きい。

FC東京は川崎に完敗したけど、堅い守備をベースにしたサッカーは大崩れしないはず。決定力の高いディエゴ・オリヴェイラの存在も、依然として他チームにとって脅威だ。

ただし、選手層の薄さは気になる。スタメンの顔ぶれがいつもほぼ同じで、切り札となるような選手もベンチに見当たらない。長谷川監督はキャリアも実績もあるし、もっといい選手がいれば、もっといい仕事ができる監督だと思う。外国人枠を余らせているのなら、それを使わない手はない。

そもそも久保に続いて、守備の要であるチャン・ヒョンスまで移籍したのに、その穴を埋める補強をしないのはおかしい。クラブに本気で優勝を狙う気があるのかどうかが問われているね。

もちろん、今いる選手の奮起も必要だ。個人的には10番を背負う東がキーマンになるとみている。チームの方針なのか、最近は守備に重きを置きすぎているけど、本来はもっと前線に飛び出して、得点に絡める選手。強力なツートップを生かすためにも、彼には自分の持ち味を存分に発揮してほしい。

この2チーム以外にも、鹿島がじわじわと順位を上げてきたし、横浜Fマも外国人選手が好調で着実に勝ち点を稼いでいる。特に鹿島は、次々と選手を引き抜かれているのにやりくりがうまいというか、ほかの選手がしっかり活躍している。大したものだよ。

いずれにしても、今季も優勝争いは最後までもつれそうだね。

★『セルジオ越後の一蹴両断!』は毎週木曜日更新!★

serial_sergio.jpg