「体調は75%回復してます。一番いいプレーができるときは73%。問題ありません」。会見では独特の川﨑節も復活

ソフトバンクでもメジャーでもファンの心をわしづかみにした人気者"ムネリン"こと川﨑宗則が、現役復帰を目指すという。それも日本やアメリカではなく、台湾球界での話だ。

当初は「台湾でコーチ就任」との報道が先行したが、7月13日、台北市で会見に臨んだ川﨑は「選手9割、コーチ1割でやりたい」と、プレーへの意欲を明かした。

スポーツ紙デスクが言う。

「選手復帰とは意外でした。川﨑はメジャーから日本球界に復帰して2年目となる昨年、"自律神経系の病気"で春季キャンプに姿を見せず、そのまま3月にソフトバンクを退団。最近は回復傾向にあると聞いてはいましたが......」

昨年オフにはイチローと神戸で練習を行なう姿が目撃されたが、その後は表舞台に顔を出さず。今年4月にデビューした「野球大好きマスクマン」なる覆面ユーチューバーの正体が川﨑ではないかとの説もあるが、真相は不明だ。

台湾の一般紙運動部記者が言う。

「最近、ムネリンは現役を続けるべく代理人を通じて台湾のプロ4球団に売り込みをかけていました。しかしそれが不調に終わり、その後、味全(ウェイチュアン)ドラゴンズが応じたわけです」

少し説明が必要だろう。味全は大手食品会社グループを親会社に持ち、1990年の台湾プロ野球リーグ発足時に名を連ねたチーム。しかしその後、八百長問題の影響で一度は脱退し、来季から再びプロ野球に復帰することが決まった"老舗球団"だ。

「現在の所属選手は、7月1日のドラフト会議で指名した32名だけです。今秋に拡張ドラフトがあるとはいえ、質量共に明らかに選手不足。そこにムネリンからの打診があり、喜んで契約となったわけです」(台湾紙記者)

なお、台湾では多くの場合、選手契約は3ヵ月などの短期。川﨑もまずは8月から3ヵ月契約を結んだとされており、その後、問題なければ随時更新となる。チームは8月17日からドラフト指名された選手を集めてキャンプを行ない、川﨑もそこにコーチ兼選手として参加する予定だ。

「そうはいっても、ムネリンはすでにグラウンドで打撃練習を始めています(笑)。実戦デビューは早ければ11月。台湾では11月から年末までウインターリーグが開催され、例年、日本プロ球界の若手や社会人選抜、あるいはドミニカやオーストラリアなどの選抜チームが参加しますが、味全は試合経験を積むために単独チームで参加する予定です」(台湾紙記者)

ところで、この記者は最初から川﨑のことを"ムネリン"と呼んでいたが、なぜ?

「ハハハ。台湾でもムネリンは有名です。日本野球のファンも多いし、2013年には台湾の英雄である王 建民(ワン・チェンミン)と米ブルージェイズでチームメイトでしたから。WBCに出場したことを知っているファンも多いですよ。味全は来季、まずは2軍リーグに参戦し、順調なら21年から1軍リーグ復帰となる見込みですが、人気者のムネリンなら2軍でもファンを呼べると球団は考えているはずです」

体調さえ万全なら、世界中どこでも溶け込める抜群のキャラ。"ムネリン"はチームの枠を超えて台湾球界の大きな話題となるかもしれない。