ピッチ上で生かすところまではいかなかったのは大きな反省材料と語るセルジオ越後氏 ピッチ上で生かすところまではいかなかったのは大きな反省材料と語るセルジオ越後氏

昨年7月に鳴り物入りで鳥栖に加入したフェルナンド・トーレスが現役を引退した。日本での成績は35試合で5得点。下位に低迷するチームにあって目立った結果を残せず、周囲から寄せられる大きな期待に応えられなかった。

すでに35歳、キャリアのピークを過ぎていたとはいえ、本人ももう少し活躍できると思っていただろう。ずっと歯がゆさを感じていたに違いない。

そして、スパッと現役を辞める決断をした。ファンやメディアから批判を受けていたわけではなく、自分から辞めると言わなければ、ダラダラと現役を続けて高給をもらうこともできた。ただ、それは彼のプライドが許さなかったということ。プロ意識の高さはさすがだと思う。

鳥栖は大金を投じ、よく世界のトッププレーヤーを連れてきた。観客動員数は増えて、Jリーグ自体の注目度も上げた。ただ、大物を呼んで夢を持たせるところまではよかったけど、ピッチ上で生かすところまではいかなかった。それは大きな反省材料だ。

ストライカーのトーレスはゴール前でこそ持ち味を発揮する選手。実際、いいボールが来れば、迫力のあるプレーを見せてくれた。でも、そうした機会はあまりにも少なかった。鳥栖の中盤にいいパスを出す選手がいなかったからだ。その結果、トーレスが守備に走り回ったり、チャンスをつくる役割をこなすことも多かった。

在籍1年で監督が3度も交代。戦術の定まらないチーム状況にも足を引っ張られた。誠実で温厚な人柄と聞いているけど、今季は審判にクレームをつける場面も目についた。それだけストレスを感じていたのだろう。

今後は鳥栖のアドバイザーとして、年に数回程度は来日するという。具体的にどういった仕事をするかはわからないけど、鳥栖はぜひ彼の意見に耳を傾け、生かしてほしい。

かつてドゥンガが磐田のアドバイザーを務めていたとき、「(磐田のフロントは)意見を言ってもちっとも聞いてくれない。なんのためのアドバイザーなのか」と怒っていたことがある。結局、その後ドゥンガと磐田との縁は切れてしまった。もったいないよね。鳥栖にはそんなことにならないようにしてほしい。

さて、同じスペインつながりのトピックになるけど、久保建英のマジョルカ(スペイン1部)への期限付き移籍が決まった。レベルを考えれば、3部に所属するレアルのBチームでプレーするよりも断然いい。いいチャンスをもらったと思う。言葉の問題もないし、あとはポジションを奪って試合に出るだけだ。

1部とはいえ、強豪とはいえないマジョルカは、試合中に守りに回る時間が長くなると思う。それこそ鳥栖でのトーレスのように、久保にもボールがなかなか来ない可能性もある。そうしたなかでどれだけ持ち味を発揮できるか。そのあたりが課題になるんじゃないかな。それでも、レアルやバルセロナ、アトレティコ・マドリードといったビッグクラブとの対戦は今から楽しみだね。

スペインリーグにはこれまで多くの日本人選手、それも日本代表の主力級が挑戦してきたけど、なかなか成功を収められなかった。継続的にプレーし、一定の評価を勝ち取ったのは乾(エイバル)くらいだ。それだけ厳しいリーグであるのは間違いないけど、久保にはぜひその壁を破ってほしい。

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