9月19日に球団買収を発表した。※写真はイメージです

「三木谷浩史会長は何事も『初』がお好み。孫正義会長率いるソフトバンクや、海外の球団と幅広く提携している日本ハムなどに先んじた形で、日本球界初となる海外球団の本格的買収を成し遂げたことにご満悦のようです」(スポーツ紙デスク)

9月19日、IT大手の楽天が、台湾のプロ野球球団「ラミゴ・モンキーズ」を買収すると発表した。ラミゴはシーズン優勝6回を誇り、今の台湾球界では人気も実力もナンバーワンといえる球団だ。台湾球界関係者が説明する。

「ラミゴは人気球団ですが、親会社(シューズメーカー)の規模が小さかった。以前から身売りの可能性がささやかれ、今年7月に今季限りでの売却を正式発表していました」

ただし、日本企業による買収の可能性は事前に報じられておらず、その意味ではサプライズだったという。全国紙経済部記者が解説する。

「楽天の買収目的は野球そのものより、企業の知名度アップだと思われます。2008年に台湾のネット通販事業に進出し、今年3月には台湾の通販大手と提携して販路拡大に注力。球界参入により楽天カード会員数の増加を狙うのみならず、今年7月に認可が下りた銀行業務なども含め、総合的にビジネスを広げていきたいわけです。

台湾球界はどの球団でも、年間3億から4億円程度の赤字が出ますが、宣伝投資と考えれば高くはない。公表されていない買収額も11億円前後と報じられており、お手頃でした」

ただ、現地のファンには意外な心配事があるという。

「買収発表後、楽天が『桃園楽天ゴールデンイーグルス』というチーム名で登録申請をしたと報じられました。まだ正式発表はないので真偽はわかりませんが、ファンの間に不安と不満が生まれています」(前出・台湾球界関係者)

「桃園」は、ラミゴの本拠地球場がある新興都市の名前。つまり、日本の球団名「東北楽天ゴールデンイーグルス」を地域名だけ変えた名称になるのでは......ということだ。

「モンキーズという名前が変わること自体、ファンはあまりいい気がしないでしょう。それに、そもそも台湾にイヌワシ(ゴールデンイーグル)はいないから、なおさら『ゴールデンイーグルス』という名前に押しつけ感が生まれてしまう。もしや日本の東北楽天の"下部組織"になってしまうのか......との危惧が生まれているわけです。

例えば、監督やコーチなど首脳陣に、日本からお払い箱になった人たちが派遣されたり、外国人枠を日本の2軍選手で埋められたり......というようなことがあれば、台湾のファンは失望し、反発するでしょう。台湾は親日的なので、基本的には買収を歓迎していますが、楽しみ半分、怖さ半分というのが本音なんです」(台湾球界関係者)

ちなみに、台湾では日本野球の注目度が高く、こんな話まで知られている。

「メディア関係者や球界関係者の間では、かつて三木谷会長が東北楽天の現場に介入し、FAXなどで監督にスタメンを指示していたという噂があることも有名です(笑)」(台湾球界関係者)

果たして、この買収劇が日台双方にメリットを生むかどうか。初の試みだけに、良くも悪くも注目度の高い船出となりそうだ。