世間はラグビーW杯一色。実際、どの試合も面白いけど、サッカーも忘れないでほしいね。
日本代表がカタールW杯のアジア2次予選、モンゴル(10日)、タジキスタン(15日)との2連戦に臨む。初戦のミャンマー戦は危なげなく勝ったものの(2-0)、相手のレベルを考えれば、もっと得点を取ってほしかった。特に後半は物足りないデキだった。
今回の2連戦は勝つのはもちろん、大量得点を奪って、FIFA(国際サッカー連盟)やAFC(アジアサッカー連盟)にアジア2次予選などやる必要はない、とアピールをしてほしいね。
注目はやはり攻撃陣。特に故障で不在の大迫に代わるワントップだ。まあ、これは今回に限った話ではないけど、層が薄くて大迫頼みになっている最前線にどんな選手が出てくるのか。来年の東京五輪、さらにカタールW杯を考えれば、そろそろ新しいFWに出てきてもらわないと困る。
今は抜けた存在である大迫にしても、所属のブレーメンではワントップを務めているわけではない。数字的にもかつての高原のほうが上だった。もちろん、大迫はいい選手だけど、日本代表のレベルアップのためにはライバルの存在や競争は絶対に必要。今回はゆっくり休んでもらうとして、ほかの選手のアピールに期待したい。
ちなみに、なぜ日本はストライカーがなかなか育たないのかとよく聞かれるけど、それは世界共通の悩み。仕方がない面はある。
ただ、ひとつ言えるとすれば、指導者ライセンスの導入によって、指導者の教え方が均質化し、似たようなタイプの選手ばかり育っているというのはあると思う。昔に比べれば、足元の技術など平均のレベルは劇的に上がった。
そのこと自体は悪いことではなくて、特に日本は2列目の人材が充実している。でも、その一方で"怪物"と呼ばれるような、個性的な特徴を持った選手は出にくくなった。
ストリートサッカーをやる子供が少なくなっているブラジルでも、フィジカル重視の流れがあり、個性的なスーパースターが出にくくなっているんだけど、それと同じような構図なんじゃないかな。
さて、ワントップの人材不足は、五輪代表(U-22代表)にも共通する課題だけど、五輪代表の場合はもっと根本的な問題を抱えている。それは五輪本番まで1年を切っているのに、A代表と兼任の森保監督が、これまでほとんどチームの指揮を執れていないことだ。
船長がいなければ船は揺れる。今月のブラジル遠征(6~16日)も、森保監督はA代表のW杯2次予選があるため、来月の親善試合(U-22コロンビア代表戦)から指揮を執るという。
この問題に関しては森保監督に責任はなくて、兼任でも大丈夫だろうと考えた日本サッカー協会の見込みの甘さが原因。
五輪本番までの期間を考えれば、今後はW杯2次予選、さらには12月のE-1東アジア選手権(韓国)など、A代表の公式戦も五輪代表の強化に最大限活用すべきだろう。そして、当面の最大の目標となるのが、来年1月開幕の東京五輪予選を兼ねたU-23アジア選手権(タイ)だ。
日本はすでに開催国として五輪出場権を持っているけど、アジアで負けるようなら本番でのメダル獲得なんて夢のまた夢。万全の準備をして臨んでほしい。