「湘南側にも言い分はあると思うけど、管理が不十分だったと言わざるをえない」と語るセルジオ越後氏

Jリーグの村井チェアマンが4日、会見を行ない、選手、スタッフへのパワハラ疑惑が取り沙汰されていた湘南の曺 貴裁(チヨウ・キジェ)監督に対して、パワハラ行為を認定。曺監督には5試合の出場資格停止とけん責、クラブにはけん責と制裁金200万円の処分が下された。

パワハラの内容については過去、曺監督の威圧的な態度や言動によって受けた精神的苦痛を理由にチームを去ったスタッフ、選手が複数いたということ。具体的には「おまえはチームのがんだ」「おまえの代わりはいくらでもいる」などといった発言を繰り返してきたそうだ。

きれいごとだけではやっていけないのがプロの世界。時には厳しい言葉を投げかけることで、その選手はもちろん、チーム全体の士気が上がることがある。それはチームを勝たせるためのひとつの手段でもある。

例えば現在、アトレチコ・マドリードを率いるシメオネ監督なんて、激しい言葉や身振りで選手たちを鼓舞しながら好成績を収め、高い評価を受けている。

曺監督も、毎年のように主力選手を引き抜かれるなか、若手を鍛え、J2に落ちないチームをつくってきた。最後まで諦めないで走り切るサッカーは"湘南スタイル"と称賛され、昨季は初タイトル(ルヴァン杯)を獲得。クラブ、サポーターから強く支持されていた。また、そもそも曺監督は"圧"が強いことで知られていたし、暴力についても否定している。

それにもかかわらず、こういう処分が下されたのは、明らかに行きすぎたところがあったということ。

時代は変わる。今は勝てばなんでも許されるわけではない。湘南側にも言い分はあると思うけど、管理が不十分だったと言わざるをえない。

ただし、Jリーグの対応については疑問も残る。まず、湘南と連携して問題に対処することはできなかったのか。Jリーグが一方的に調査することで必要以上に話が大きくなって、湘南側に大きなしこりとネガティブなイメージを残してしまった。

また、調査に時間をかけすぎ。2ヵ月近くも処分が決まらないことで選手やスタッフなど現場に大きな影響を与えた。その間、湘南は勝ち星から見放され、残留争いに巻き込まれている。冷静に練習、試合ができる精神状態ではなかったと思う。

そして、5試合の出場資格停止処分といっても、曺監督はすでに活動を自粛していたので、実質、なんの処分も下していないのと同じ。普通に考えれば、パワハラが認定されてから5試合出場資格停止処分とすべきだ。

パワハラ監督というレッテルを貼って、あとはお好きにしてくださいというのはどうなのか。思いっきり首を突っ込んでおきながら、難しい判断は湘南に丸投げ。自分たちはちゃんと仕事をやっていますよ、というアピールをしただけのようにも見える。

湘南は曺監督を続投させたかったようだけど、現実的には難しいよね。結局、Jリーグの処分発表から4日後に曺監督の退任を発表した。個人的にもフロント、曺監督が共に責任を取って辞任し、新体制で再スタートを切るのが妥当だと思う。

シーズン終盤の大事な時期だけに、できるだけ早く、選手が安心して練習、試合ができる環境に戻し、これからはこういうチームにするんだという動きを見せないといけない。

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