今回のW杯で15人制に区切りをつけ、7人制での五輪挑戦後は引退して医師を目指すと公言している福岡

史上初のW杯ベスト8進出で日本中を熱狂させたラグビー日本代表。予選プール出場3試合で4トライを決め、スコットランド戦ではプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたウイングの福岡堅樹(けんき)は、今大会限りで「15人制」の代表を引退し、2020年東京五輪の正式種目である「7人制ラグビー(セブンズ)」に専念する。

スポーツコンテンツ配信サービス「DAZN」で7人制ラグビーの試合解説をするスポーツライターの斉藤健仁(けんじ)氏が、15人制と7人制の違いを解説する。

「ルールはキックオフ以外基本的に同じで、グラウンドの大きさも同じ。その条件下で選手が7人になるわけですから、7人制は選手がめちゃくちゃ走り回ります。

一応、スクラムを組むフォワード(3人)とボールを回すバックス(4人)という区別はありますが、ゲームが始まったらあまり関係ない。選手がゴチャッと集まることが少なく、ものすごく早い試合展開の"点取り合戦"といっていいでしょう。

15人制が40分ハーフなのに対し、7人制は7分ハーフですが、わずか7分間に3、4トライを取り合います」

となれば、15人制と比べ体の大きさよりもスピードが重要。その意味で、50mを5.8秒で走る福岡は7人制に最も適した選手のひとりといえ、7人制ラグビーが初めて五輪種目となった16年リオ五輪でも日本代表に選ばれている。

2014年に日本国籍を取得し、16年リオ五輪で優秀選手賞に選ばれたレメキも「東京五輪を目指す」と宣言

「リオ五輪の7人制ラグビー男子で日本は4位に入り、しかも予選プールでニュージーランドを破っています。リオ五輪には福岡のほか、同じく今回の15人制W杯で日本代表だったウイングのレメキ・ロマノ・ラヴァも出場し、優秀選手賞に選ばれています。レメキも東京五輪を目指すと言っていますから、福岡とレメキが入れば、メダル獲得がグッと近づいてきます」(斉藤氏)

今回のW杯準々決勝では、南アフリカ代表に体格やパワーでねじ伏せられた日本代表。しかし、スピード重視の7人制なら五輪金メダルをも狙える位置にいるのだ。

「7人制代表チームも15人制と同じように長期合宿による強化を行なっており、今年7月には来年の五輪本番時の暑さなどを想定した『オリンピックプリパレーション』という練習もやりました。15人制に負けないくらい強化を進めています」(斉藤氏)

では、福岡やレメキのほかに、現在の7人制の代表候補にはどんな注目選手がいるのだろうか。

「まず、リオ五輪代表選手でフィジー出身の副島亀里(そえじまかめり)ララボウ・ラティアナラ、50m5.9秒の俊足を誇る後藤輝也(てるや)、ステップの名手・合谷(ごうや)和弘、ベテランの坂井克行の4人。15人制の代表経験も豊富な藤田慶和らは当然注目です。

それから、元ニュージーランド7人制代表のボーク・コリン雷神(らいじん)、昨夏の7人制ラグビーW杯の優秀選手賞に選ばれたジョセファ・リリダム、フィジー出身のジョセ・セルら外国出身選手にも期待がかかります」(斉藤氏)

7人制日本代表は、12月5日開幕のワールドラグビーセブンズシリーズドバイ大会に出場する。初戦は同日の対フィジー戦。この大会に福岡やレメキが合流するかどうかは微妙だが、早くジャパンの熱戦が見たい!