まったくチームになっていなかったね。
東京五輪で金メダルを目指すU-22日本代表が国内初の親善試合(U-22コロンビア戦)に臨み、0-2で完敗した。
攻撃的に仕掛けた立ち上がりは悪くなかった。ただ、ボールの奪い合いで劣勢になると、徐々に引いてしまった。もちろん、引いて守るのもひとつの戦い方だけど、ボールを奪っても最終ラインとボランチがパスをつなげない。
特に3バックの布陣は、サイドが攻撃の生命線になるのに、両サイドの上がりがないから前線が孤立した。結果、自陣に押し込まれる時間が長くなる。これでは勝てるわけがない。
これまでA代表で活動することの多かった堂安(PSV)、久保(マジョルカ)も期待に応えられなかった。悪い流れを自分がなんとか変えてやろうという気持ちは伝わってきたけど、後ろからの押し上げやサポートがないから、前を向いてはドリブルを仕掛けるばかり。単調なプレーに終始し、ワントップの上田(鹿島)との連係もほとんど見られなかったね。
後半途中から三好(アントワープ)が入って少しよくなったけど、流れを大きく変えるまでには至らなかった。主将を務めたボランチの中山(ズヴォレ)もミスが多く、相手に狙われていた感じがある。ちょっと守備的になりすぎていたし、彼にはもっと攻める姿勢を見せてほしかった。
肝心の森保監督は身振り手振りを交えて指示を出すよりも、黙ってメモを取っている場面が多かった。むしろ選手に声をかけていたのは、これまでこのチームを実質的に見てきた横内コーチ。
また、A代表は4バックなのに、U-22代表が3バックなのもどうかと思った。監督兼任のメリットをまったく生かせていない。
この世代は、10月にアウェーでU-22ブラジル代表に勝ったり、欧州組が多いことから"史上最強"とも言われていた。僕も大いに期待していたんだけど、この試合を見る限り、チームの方向性が見えてこず、逆に五輪本番に向けて心配だ。
確かに、五輪南米予選(来年1月開幕)を控えたコロンビアは強かった。みんなまじめに走って、プレスをかけ続けて日本に自由を与えなかった。途中出場の選手もアピールに必死だった。
でも、東京五輪でメダルを獲得するには、そのくらい強い相手を倒さないといけない。それを体感できたのがこの試合の最大の収穫かもしれない。
五輪本番では当然、3人のオーバーエイジ枠をフル活用したい。報道ではすでに大迫や南野、柴崎らの名前が取り沙汰されているけど、大会直前ではなく、もっと早い時期に彼らを五輪代表に交ぜて、フィットするかどうかを試しておきたい。ここまで4戦全勝で格下との試合が続くW杯2次予選などは絶好の機会になるだろう。
そして、この先、五輪本番まで約8ヵ月しかないわけだから、あれもこれもといろいろな選手を試すよりも、早い段階である程度メンバーを絞り込み、そのなかで選手に競争を促し、チームを熟成させていったほうがいい。
U-22日本代表の次の試合は12月28日に行なわれる親善試合のU-22ジャマイカ戦(長崎)。森保監督が目標に掲げる金メダルを獲得するには、きっちり勝たなければいけない相手。今度こそ五輪本番が楽しみになるような試合を見せてほしい。