女子プロレスラー・木村花(きむら・はな)が話題を振りまいている。

プロレスラー・木村響子を母に持ち、2016年に鳴り物入りでデビュー。2019年は、移籍した団体「スターダム」で看板選手として大暴れする一方で、人気リアリティ番組『テラスハウスTOKYO2019-2020』(NETFLIX、フジテレビ・オンデマンド)にも出演。プロレスの枠を越えて活躍中だ。

リング上の烈火のような激しさと、テラハで見せる恋する乙女な顔。どちらが本当の木村花なのか? 今いちばんホットな女子プロレスラーの素顔に迫る!

***

――「テラスハウス」への出演がプロレスファンのみならず話題です! なぜ出たいと思ったんですか?

木村 私は趣味がホントに無くて、寝る以外はプロレスのことばかり考えているような生活なんです。2週間試合がないと「私、なんのためにいるんだ?」みたいに病むぐらい(笑)。プロレス以外は基本的に家にいて人とも喋らないし、その時間を外の世界の人と関わる時間にしたいなって。

――プロレス以外の世界を広げたいと。テラスハウスに住んで変わりましたか?

木村 変わりました! プロレスって試合中は顔も髪の毛もぐちゃぐちゃになるし、自分の身なりに無頓着になったりするんですよね。私も始めたての頃は練習に必死すぎて、「それ以前にやることあるだろ」って謎のストイックさを発揮してて(笑)。でも女優さんやモデルさんと暮らすようになって、私もちゃんとしなきゃって、すごくいい影響を受けてます。

――どんどん女性らしくなってますよ!

木村 ホントですか!? もっとなりたいですよ......全然モテないし(笑)。

――番組のプロフィールには「男の人とまともに付き合ったことがない」とありましたが、男性に囲まれて暮らすのは大丈夫?

木村 最初はドキドキで、朝起きても「今、下に降りたら男子メンバーいるのかな......」とか思ってたけど、最近もう慣れちゃって(笑)。「男性の◯◯さん」とかいうジェンダーが取れてきて、ひとりの人間として関われるようになったかな。

――でも時には泣いたりも?

木村 もうギャン泣きですよ~(笑)。人間力の足りなさを痛感してます。

――プロレスとは違ってずいぶん弱気ですね(笑)。しかしレスラーモードではヒール魂を炸裂させて豹変しますよね。

木村 確かに私はリングに上がったら人に暴言を吐くしツバまで吐くし、本当にひどい人間だと思います(笑)。

写真は1月4日に新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」大会より。19年女子プロレス大賞を受賞した岩谷麻優、ワンダー・オブ・スターダム王座保持者の星輝ありさのタッグに対し、木村花は他団体より電撃移籍したジュリアと初タッグを結成 ©World Wonder Ring STARDOM 写真は1月4日に新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」大会より。19年女子プロレス大賞を受賞した岩谷麻優、ワンダー・オブ・スターダム王座保持者の星輝ありさのタッグに対し、木村花は他団体より電撃移籍したジュリアと初タッグを結成 ©World Wonder Ring STARDOM

――カワイイだけじゃないのが木村花の魅力ですよね。昨年、所属団体のスターダムがブシロードと提携して業界では大きな話題となりましたが、そのブシロードの木谷会長にビンタした時は、むしろ「私の仕事だから」という責任感すら溢れてましたよ!

木村 日テレの社長さんにもスリーパーしたし、偉い人を痛めつけることでお給料もらっていいのかな(笑)。でもネットを見ていると、ブシロードとスターダムの提携には拒絶反応も多いなと感じています。

昔からのスターダムファンには「自分たちはもう必要ないんだ」と不安になっている方もいるし......。私は旗揚げ当時のことは知らないけど、その時期を支えてくれた人がいるからこそ8年も団体が続けられたので、そこは自信を持ってほしいです。

――そのブシロード体制では女性ファンを中心に新規ファン獲得に注力していますね。

木村 この1、2ヶ月で若い男の子、女の子がすごく増えました! バックヤードでも「今日は女性ファンたくさんいたね!」ってうれしくて盛り上がってます。

――以前、「同世代の人や女性にも見てほしい」と言っていましたが、女性ファンが増えるとうれしいのはなぜ?

木村 女の子のファンの方は「やっと会えた~」「かわいい」「また見に来るね」とか、ポジティブな感情をそのまま伝えてくれるので、頑張ろうって思えるんですよね。

あとわざわざ地方から来てくれたり、「夏休み限定」ってピンクの髪にしてくれてたり、メイクやファッションを真似してくださるお姉さまたちもいて、うれしいです!

――女性が惹かれるのは、髪を掴んだり頭突きしたりと感情むき出しの激しい試合をしているからなのもあるんでしょうね。でも、時には失礼な野次も飛びますよね?

木村 そうですね。そういう時はいつも「うるせー、クソジジイ!」って、冗談交じりで返しちゃいます(笑)。そういうのが言える人間性なので。

©World Wonder Ring STARDOM ©World Wonder Ring STARDOM

――その思い切りの良さはどこから?

木村 もともと「男に負けたくない」というのはあるので、媚(こび)を売るのはイヤですね。だから鍛えてたくましくなりたいと思うし、男より下ってスタンスはイヤなんです。

あと、私たちもリスペクトされる存在でないといけないですね。売店に行く時などに気軽に体を触ってくる人もいるけど、口には出さなくてもケガをしていたり、時には骨折を押して試合している選手もいるんです。そこは配慮があるとうれしいな。女子プロレスラーは強いけど脆(もろ)い部分もあるので、宝石だと思ってほしいです。

――卍固めやドロップキックなど、プロレスの王道技を磨き上げて使う木村花は、まさにリングの宝石です! 先日はブレーンバスター5連発という説得力のある試合で、トーナメントで優勝しました。

木村 シングルの優勝は初めてだったのでうれしかったです! 大好きなタピオカも1ヶ月半断ったし(笑)。でも優勝はゴールじゃなくて、タイトルへの発言権を得るためのステップだったのに、その後、せっかく挑戦した王座戦では負けてしまいました。そこは不甲斐なくて反省ですね......。

©World Wonder Ring STARDOM ©World Wonder Ring STARDOM

――以前「試合後は反省ノートを書いている」と言っていましたが、相変わらず真面目ですね! それにしても最近の木村花は注目度も高まり、ギアをひとつ上げた印象がありますが何かきっかけが?

木村 特に何かあったわけじゃないけど、前までは「誰に嫌われてもいい」って思ってたのはあります。

――確かに突然、メキシコに武者修行に出かけたり、所属していたユニットで謀反(むほん)を起こして脱退したり、自由奔放な行動で周りを翻弄する"お騒がせ"な一面も、ある時から出していますね。それはなぜ?

木村 私、デビューしたての頃は右も左もどころか前も後ろもわからなくて、ずっと母親と一緒に活動していたんです。自分の考えや気持ちは別にあったけど、母親は唯一の仲間で、この人さえ信じていればいいって言うことを聞いていた。その母親が17年に引退してひとりぼっちになって、私に居場所なんてない、頼れるのは自分しかいないと思うようになって。

それに母親が引退してからが、私の本当のプロレス人生が始まると感じていたんです。だから「ついに本物のプロレスラーになる!」みたいにギラギラしてて、先輩も同期もお客さんも、何ならみんな私のこと嫌ってくれって思っていましたね。まぁ、これは今もちょっと思ってるけど(笑)。

――では、現在はどこを目指しているのでしょう?

木村 ね? どこを目指してるんでしょう、私(笑)。私は自分のことをすごくポテンシャルを持った人だと思ってるし、まだまだ成長できると思ってるんですけど。

でも、ハイブリッドな選手になりたい。ただ体が大きいだけじゃなくちゃんと使える筋肉を持っていたいし、ファッションやメイクを真似してくださるファンの方に会うと、ビジュアルでもビビビッとくるものを出していきたいと思う。

変化を恐れるのは人間の本能かもしれないけど、たとえばアジャコングさんはベテランなのに、今のお客さんも楽しめるように考え方やプロレスがアップデートされていて、いつも新しい。

私も変化を恐れずに、古いものも新しいものも、強さもキラキラ感も、いろんな要素が混ざりあったタイプになっていきたい。

――プロレスで注目を浴びながらメジャーなメディアでも活躍するレスラーは今の時代には珍しいし、今後さらに活躍しそうで期待しちゃいます!

木村 2020年は木村花の年にしなきゃいけないって思ってます。まだシングルではベルトを巻いてないし、リーグ戦で1回優勝しただけでイマイチ結果を残せてないのが現実。それは自分で痛感してるから、2020年は何があっても揺るがない強さとかベルト獲得とか、絶対的な爪痕を残していきたいです!

木村花(きむら・はな)
1997年9月3日生まれ、神奈川県出身。身長164cm。女子プロレスラー・木村響子の娘として2016年3月30日デビュー。タイトル歴/5★STAR GP2019優勝、第12代ゴッデス・オブ・スターダム、第10&19代アーティスト・オブ・スターダムなど。得意技はビッグブーツ、ミサイルキック。リアリティ番組『テラスハウスTOKYO2019−2020』(NETFLIX、フジテレビ・オンデマンド)に出演中