例年以上におとなしく地味。シーズン開幕を告げる富士ゼロックス・スーパー杯(横浜Fマvs神戸、8日)が迫ってきたけど、それが今オフの各チームの補強についての印象だ。
昨季、15年ぶりに優勝した横浜Fマは、大分からオナイウ、C大阪から水沼を獲得したのが目立つくらい。しっかり守って、外国人と仲川が速い攻撃を仕掛けるという昨季の戦い方に手応えを感じているのだろう。
とはいえ、Jリーグとアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の両タイトルを狙うには質・量共に物足りない。他チームに大きな動きがなかったので様子見の部分もあるのかもしれないけど、そこは少し心配。
昨季はシーズン途中のスピーディかつ的確な補強が当たって、終盤の快進撃につながった。そういう意味では今季もフロントの動きがカギを握りそうだ。
その横浜Fマと富士ゼロックス・スーパー杯で対戦する神戸も、久しぶりに静かなオフを過ごした。ビジャ、ポドルスキ、ウェリントンが抜けた一方で、点取り屋のドウグラスを獲得したけど、戦力の収支は明らかにマイナス。天皇杯に優勝したことで三木谷会長も満足してしまったのかな。
ただ、初タイトルを獲ったとはいえ、あんなにお金を使っておきながら、昨季のリーグ戦の戦いぶりはひどいものだった。何より今季はACLにも出場する。戦力的な上積みが必要だ。
ダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)やペドロ(チェルシー)ら、今夏の大物獲得の噂もあるけど、そこからチームづくりを始めるのでは遅すぎる。ACLで勝ち進めば楽天の宣伝にもなるのだし、三木谷会長には今すぐ動いてほしい。
昨季の上位チームで唯一積極的に動いたのは鹿島。ふたりのブラジル人のほか、東京五輪世代の杉岡を筆頭に、即戦力の中堅、若手選手を多く獲得した。それでも、ここ数年で次々に海外移籍した主力選手たちの穴は埋めきれないだろうし、開幕直前にチーム最多得点のセルジーニョの中国移籍が決まったのも痛い。
ただ、ザーゴ新監督の下で、新たにチームをつくり直そうという意図ははっきりと見える。補強した選手がポジションを奪って活躍すれば面白い。少し時間はかかるだろうけど、期待したい存在ではある。
そんな鹿島と対照的なのが浦和だ。例年大型補強で注目を集めているけど、今季の話題は新潟から獲得したJ2得点王のレオナルドくらい。主力の日本人の世代交代が必要なのに、それには手をつけず、先送りにした印象だ。
以前はJリーグ内で移籍するなら浦和に行きたいという選手が多かった。でも、今は違う。ここ数年、浦和移籍後に活躍できない選手が続出。なかにはほとんど試合に出ることなく他チームに移籍していく選手もいて、魅力が薄れてしまった。
実際、今オフも複数の若手にオファーを断られている。狭い世界にあって、いくら人気クラブでも、いくら年俸が高くても、飼い殺しのリスクも高い、と見られるようになった。これはもう完全にフロントの責任。今季も苦しい戦いになると思う。
そのほかでは昨季2位のFC東京がアダイウトン、レアンドロらJリーグで実績のある外国人選手を補強。エースのディエゴ・オリベイラは健在だし、環境が変わることで彼らが100パーセントの力を発揮すれば、今季も優勝争いに絡んでくるだろう。
シーズン開幕が楽しみだね。