サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第147回。
現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。
今回のテーマは娘・宮沢セイラについて。タレントとして活躍する彼女に対し、宮澤ミシェル氏は父として心配なことがあるという。
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ステイホーム週間になって思うのは、たまになら外出を控えるGWの過ごし方もいいかもしれないってことだね。
例年ならGWは、Jリーグ観戦のために多くの人がスタジアムに足を運んでくれる。サッカー解説者にとっては、サッカーの魅力を伝える仕事のやり甲斐や楽しさを感じる時期なんだよね。
それが今年はないのは残念でならない。でもさ、コロナ禍も前向きに捉えるならば、当たり前だと思っていたことは、当たり前じゃないと再認識することができた。だからこそ、コロナ禍が収束したら、心身ともにしっかりとハッピーな気持ちを堪能してやろうと思っているんだ。
外出自粛で家にいる時間が増えたことで、これまで以上に家族のことを考えるようになったよね。
私にはふたりの息子と、娘がひとりいるんだけど、息子は放っておいても平気なタイプだけど、タレント活動をしている娘の宮沢セイラの今後について考えると、心配になってしまうんだよな。
セイラはこれまでよりも幅広い活動をしていくため、この春にいろいろとチャレンジする予定だったみたいなんだよね。それがこのコロナ禍だもんな......。
我が子とはいえ、すでに26歳で自立もしている。だけど、親としては娘の先々が心配になるのも当たり前なんじゃないかな。
ただ、この春に新スタートを迎えたのは、セイラだけじゃないからね。新入学生や新社会人はもちろんだし、春を契機にして新たな挑戦をしようとしていた人は数多くいる。
彼らはみんな、春からのスタートに向けてモチベーションを高く持っていた。でも、コロナ禍の収束時期が見えないと、そのモチベーションは行き場を失ってしまう。反動が大きく出てしまわないか心配になるよ。
やり場のない気持ちは、まわりの人たちに少しでも話して吐き出してもらいたいし、そういう気持ちは社会全体でくみ取っていけるといいなと思うよ。
セイラに関して言えば、彼女は大きな挫折を味わった経験があるから、そこは乗り越えてくれると信頼しているよ。
3歳からクラシックバレエに没頭して、15歳の頃にバレリーナになるためにモナコのバレエ学校に留学。でも、そこで足を痛めてしまい、バレエの道が途切れてしまった。
帰国してからは引き篭もりみたいな生活で、1、2年くらいは家でボケーッとしていたよね。だけど、ある日、母親と買い物に出かけたらスカウトされて。それが契機になって乃木坂46のオーディションを受けることになった。
新たな世界に出会い、バレリーナの夢に代わる目標ができたら、もともと持っていた活発な性格がどんどん発揮されて、セイラらしさを取り戻していったんだよ。
そういう経験をしているからメンタル面の心配はしていない。というか、我が娘とはいえ、残念ながらアホだからねえ。ちゃんと未来のことを自分で考えているのか、そっちの方が心配なんだよな(笑)。
セイラはおもしろそう、楽しそうと感じれば、後先を考えずにガンガン参加しちゃうんだよ。行動力があると言えば聞こえはいいけど、セイラの場合は何も考えていないだけのように感じちゃうくらい(笑)。
まだコロナ禍になる前のことだけど、ヘリコプターに乗っている写メを送ってきたことがあるんだよね。高所恐怖症の私にしたら、あんなものに乗るなんて信じられないのに、セイラはあんな高いところで満面の笑顔。あんなことができるのは絶対、想像力が足りないからだよな(笑)。
彼女は10月29日の誕生日で27歳。168cmという長身はあれこそ、テレビなどのメディアの世界で生き抜いていくには、何か新たなアピールポイントを持つことも必要だと思うんだよね。興味があったけど手を出せなかったことや、気になる程度のことに本格的に取り組み始めるには、今はもってこいのタイミングだからね。
父親としてはそういうアドバイスもしたいんだけど、本人には言い難いから、距離感の近い母親から言わせようとしたりしてね。ちゃんと伝わってるのかな?(笑)
セイラに限らず、私自身やみなさんも、家にいる時間が増えたことを、「これはきっと、未来の自分への投資をするタイミングなんだ」と考えるようにしましょうよ! そうすればコロナ禍で窮屈さを感じている暮らしも、少しは緩和されるんじゃないかと思うんですよ。