試合中も監督やコーチ、そして審判員はマスク着用となりそうだ(写真は紅白戦を見るソフトバンク・工藤公康監督) 試合中も監督やコーチ、そして審判員はマスク着用となりそうだ(写真は紅白戦を見るソフトバンク・工藤公康監督)
「ようやくの開幕決定で、球界関係者はとにかくほっとしています。ただしその半面、不安や未知数な点も多く、これから大変です」

そう語るのはスポーツ紙デスク。プロ野球は当初の予定から3ヵ月近く遅れ、6月19日に開幕することが決まった。

「NPB(日本野球機構)も、全国で連日3桁の感染者が出ていた頃には『8月開幕で40試合くらいやれればいい』とまで覚悟していました。しかし、少し落ち着いてきた4月末頃からは、6月19日を目標にしていたんです。予定どおり消化できればシーズン120試合ですから、御の字といっていいでしょう」(デスク)

しかし、やはり問題は、開幕直後の無観客期間を過ぎ、観客を球場に入れるようになってからの対応だ。

NPBは先んじて開幕している台湾や韓国から「試合開催実施マニュアル」を譲り受け、試合の進め方や観客を入れる場合の注意点などを検討している。例えば、緊急事態宣言が解除されてから各チームは紅白戦を解禁しているが、そこで審判や首脳陣がマスクを着用しているのは韓国がやっていること。

また、NPBは観客のマスク着用の義務づけ、球場入り口での消毒と検温、スタンドでは1、2席空けて座るなど対応策を検討しているが、これは台湾の例に倣ってのことだ。

ただ、その台湾でも現在、観客は2000人限定。一方、日本では開幕からの無観客期間を経て、7月10日からは5000人まで、8月1日からは各球場の最大収容人数の半分まで(東京ドームなら約2万3000人)入れていいことになっている。

「これだけの人数に対する消毒、検温は費用的にも時間的にも相当な負担です。消毒液の備蓄に不安のある球団もあり、間に合わない場合はすでに確保している巨人やソフトバンクが譲ることになっているとか。また、検温用のサーモグラフィーも業者のリース品がすでに品切れで、あちこち探し回っている球団もあるといいます」(デスク)

ちなみに台湾では、もし観客の中から感染者が出た場合に追跡調査ができるよう、球場の入り口で住所、連絡先を記録している。

「日本では球場での記録は厳しそうですが、ネットの予約販売なら購入者の住所などは追えるでしょう。ただ、最大の懸案事項は試合終了後、観客が出口に密集することと、帰りの電車が満員状態になること。そのため試合終了後になんらかのミニイベントをやって帰宅を分散させるといった案も出ています」(デスク)

また、試合中の客席もこれまでの応援風景とはまったく別の「新様式」となりそうだ。

「大声での声援は飛沫(ひまつ)が散るのでNG。同じ理由でジェット風船も、トランペットなどでの応援歌演奏もNG。ロッテやDeNAでおなじみのジャンプ応援も、おそらく今季はNGになるのでは。やたら静かな観戦スタイルになりますね(苦笑)」(デスク)

さらに、肝心のプレーの規定も、9回打ち切り制や3時間半ルールといった時間制限案が検討されている。紅白戦でもハイタッチではなく、肘タッチで喜び合う選手たちの姿が見られた。

「もうひとつの不安は日本シリーズです。11月21日から実施予定ですが、この時期がコロナの第2波、3波にぶつからないことを祈るのみです」(デスク)

喜びと不安が半々。でも、やっぱり早く野球が見たい!