このまま勝てない状況が続けば、いくら鹿島でも立て直すのは難しくなると語るセルジオ越後氏

Jリーグの試合にサポーターが帰ってきた。コロナ以前は観客が5000人しかいなければガッカリする選手もいたかもしれない。

でも、今はただただありがたいはず。観客は応援歌を歌うことも、声を出すことも、鳴り物もハイタッチも大旗も禁止。制限だらけだけど、いいプレーをすれば拍手をする。ゴールを決めれば遠慮がちだけど歓声が上がる。間違いなく選手の背中を押している。一歩前進だ。

ただ、仕方のないことだけど、静かな雰囲気のなかで時々拍手が起こる感じは、サッカーの試合というよりもクラッシックコンサートっぽい。

お客さんも最初は久しぶりに試合を見られただけでうれしいと感じるだろうけど、この状況がずっと続けばどうか。選手との一体感という意味で拍手だけでは不自然だし、物足りなさを感じてしまうだろう。やっぱり大声を出して応援したり、ブーイングをしたりしたくなってくるよね。

また、例えばいつも一緒に過ごしている家族であっても、間隔を空けて観戦しなければいけないというのも厳しい。まあ、誰も正解がわからないなか突貫工事で作ったルールなので、いろいろな不備や不満が出てくるのは仕方ない。今後、状況に応じて柔軟にルールを変えていけばいいんじゃないかな。

さて、各チームの状況に目を向けると、鹿島と清水が開幕から4連敗を喫した。特に鹿島の不調には驚く人も多いだろう。何しろアジアチャンピオンズリーグのプレーオフのメルボルン・ビクトリー戦、ルヴァン杯の名古屋戦を含めると今年に入って公式戦6連敗。得点は川崎戦のオウンゴールの1点のみなのだから。

ここ数年は主力の海外移籍が相次いだ。また、今季は多くの若手を獲得し、監督、コーチも入れ替わり、新しくチームをつくり直しているなかで、比較的強い相手との対戦が続いた。そう考えれば仕方のないことかもしれない。

ただ、それにしても、ここまで結果が出ないのは新外国人ふたりが仕事をできていないのが大きい。FWエヴェラウド、MFファン・アラーノ共にまだチームにフィットしておらず、戸惑っているように見受けられる。

FWセルジーニョとMFレアンドロの抜けた穴をまったく埋められていない。ふたりともJリーグでプレーするのは初めてだし、どこまで活躍できるか未知数。いずれにしても、もう少し時間がかかりそうだ。

ザーゴ監督にしても、選手としては有名だったけど、監督としての能力はよくわからない。ブラジルにいたときは毎年のように率いるチームが変わっていたからね。

まだまだシーズンは始まったばかり。また、他チームと比べて選手の力が落ちるわけでもない。それほど焦る必要はないし、時間が問題を解決してくれるかもしれない。

でも、このまま勝てない状況が続けば、いくら鹿島でも立て直すのは難しくなる。今季は降格がないからといって、何も手を打たないようであれば、鹿島が鹿島でなくなる。補強をするなり、監督を代えるなりして名門の意地を見せてほしい。サポーターもそう願っているはずだ。

鹿島はJリーグの中でも、そういう厳しさを持った数少ないチームだと思う。これまでもそうしたプレッシャーを乗り越えてきた。今いる選手たちもぜひ奮起してほしいね。

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