単なる親善試合じゃないね。日本代表がオランダでカメルーン(9日)、コートジボワール(13日)と対戦する。約10ヵ月ぶりの代表戦だ。
今年は年内に予定されていたW杯予選がすべて延期になるなど、日本代表の活動は新型コロナウイルスの影響を大きく受けていたわけだけど、ひとまず年内の代表戦ゼロという事態は避けられた。
率直に言って、強化面よりも興行面でのプラスが大きいよ。例えば、Jリーグを毎試合チェックするような熱心なサッカーファンじゃなくても、日本代表の試合は見るという人は多い。でも、このまま代表戦がない状態が続けば、興味や関心が失われてしまう。正直、すでにそうなっている人もいるんじゃないかな。
ただでさえ最近、日本代表戦のテレビ中継の視聴率は苦戦気味だった。そういう状況にあって、今回、地上波で試合を中継してくれるテレビ局の存在はありがたい。日本サッカー協会も危機感を持ってマッチメイクを頑張ったと思う。対戦相手はアフリカ勢の中でもステイタスのある2ヵ国だからね。スポンサーも喜んでいるだろう。
ただし、やるからには親善試合だろうとガチンコでやって勝たないとダメ。相手の本気度はわからないけど、勝つことが一番盛り上がる。
久しぶりに試合をやっても内容が悪かったり、負けたりすれば、「もうサッカーはいいや」となりかねない。今、世の中に暗い話題が多いからこそ、勝って明るいニュースを提供してほしい。
コロナの影響で国内組を招集できないのは残念だけど、幸い海外組はシーズンが始まったばかり。日本国内での試合のような時差や長距離移動の負担もなく、万全のコンディションで臨めるだろう。
久保、堂安、柴崎など新天地に移った選手も多いし、南野のようにビッグクラブで定位置を獲得しようと頑張っている選手もいる。彼らが「俺たちは元気だぞ」というところを見せてほしいね。久しぶりの日本代表でいいプレーを見せ、勢いに乗った状態で所属クラブに戻れるといい。
また、森保監督の采配にも注目したい。昨年11月にはA代表と五輪代表との"かけ持ち"で、采配を振るってうまくいかなかった。さらに国内組主体で臨んだ12月の東アジアE-1選手権ではライバルの韓国に敗れ、年明けのU-23アジア選手権ではグループステージで敗退。その手腕に疑問の声が上がっていた。
だからこそ、この2試合は結果にこだわってほしい。いつ再開するのかわからないW杯予選に向けてのテストなどといって、中途半端な選手起用、采配はしてほしくない。そこは見る側もシビアに評価すべきだろう。
ちなみに延期になったW杯予選については、コロナの状況次第でホーム&アウェー方式ではなくセントラル(集中開催)方式で行なうことも検討されているそうだ。
セントラル方式のW杯予選といえば「ドーハの悲劇」(1993年)を思い出すし、個人的にはあまりいいイメージがない。でも、もう昔の話だし、今は普段から海外でもまれている選手も多いので、それほど気にする必要もないのだろう。
いずれにしても、まずは今回の2試合にスッキリ勝って、来年に向けていい流れをつくってほしいね。