そろそろ自分たちはこういうサッカーで勝つんだというところを見せてほしいと語るセルジオ越後氏

日本代表がオランダ遠征の2連戦を終えた(カメルーンに0-0、コートジボワールに1-0)。

新型コロナウイルスの影響で、今回は史上初のオール海外組というメンバー構成になったけど、その試み自体はよかったね。今後も状況に応じて柔軟なメンバー選考を行なってほしい。

例えば、来年再開予定のW杯2次予選。相手は格下ばかりで日本はここまで4戦全勝。今後は無理をしてベストメンバーを招集する必要はなく、国内組限定でもよいと思う。もしくは、せっかく森保監督が五輪代表監督も兼任しているのだから、五輪世代の強化に充てるのもありだろう。

さて、肝心の試合内容については、率直に言って物足りなかった。約10ヵ月ぶりの日本代表の試合ということで楽しみにしていたファンも多かったはず。でも、コートジボワールには勝ったものの、全体的な内容は以前とあまり変わっていないな、というのが大方の感想じゃないかな。

森保監督は広島を3度のJリーグ優勝に導いた実績があり、代表監督就任当初は僕もかなり期待していた。そして、初戦のコスタリカ戦(18年9月)に3-0と快勝すると、翌月には強豪ウルグアイに4-3で勝つ好スタートを切った。中島、南野、堂安が「新ビッグ3」と呼ばれるなどして新たな時代の到来を予感させた。

でも、その後の戦いぶりはパッとしない。昨年はW杯2次予選で格下相手に連勝したものの、11月の親善試合でベネズエラに1-4で完敗。さらに国内組主体のメンバーで臨んだ12月の東アジアE-1選手権では、ライバルの韓国に敗れ優勝を逃した。そして年明けのU-23アジア選手権では屈辱のグループステージ敗退。

そうして批判にさらされていた頃と比べ、今のチーム状況は大きく変わっていないように見える。もちろん、選手にも責任はあるし、森保監督だけが悪いとは思わないけど、手腕に疑問符をつけられても仕方ない。

コロナの影響で活動できなかった期間があったとはいえ、監督就任から約2年3ヵ月、そろそろ自分たちはこういうサッカーで勝つんだというところを見せてほしいよね。特に、流れのなかからどうやって得点を取るのか、攻撃の形が見えないのは心配だ。

試合のたびにテストをしているような選手起用、采配で、それがうまくいったのか、いかなかったのかをはっきりと語ることもない。ファンに対してはもちろん、選手に対しても彼の考えやメッセージが届いていない印象だ。ひょっとしたら選手になめられている部分もあるかもしれない。

森保監督は人柄が良いだけに、選手、協会、スポンサーなどあちこちに気を使いすぎ、それが裏目に出ている。もっと自分の色を出していいと思うんだけどね。

今すぐ代えろというわけではないけど、サッカーが盛んな国であれば、すでに監督交代の是非が論じられていてもおかしくない。でも、日本はファンもメディアもおとなしい。日本サッカー協会もそれほどの危機感は持っていないと思う。

そもそも来年の東京五輪が終わるまでは、何があっても森保監督に任せるつもりなのだろう。今回も「まずは試合ができたことを喜びましょう」というところじゃないかな。

このままなんとなく東京五輪、W杯最終予選を迎えて大丈夫なのか。どうにも生ぬるくて不安になるよ。

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