『週刊プレイボーイ45号』(10月26日発売)では、48歳でプロ野球界復帰を目指す新庄剛志に密着する不定期連載『直撃! 楽しんじょう』の第2回を掲載
衝撃の現役復帰宣言から約1年――。12月のトライアウトへ向けてラストスパートに入った新庄剛志(しんじょう・つよし)。
『週刊プレイボーイ45号』(10月26日発売)では、不定期連載『直撃! 楽(たの)しんじょう』の第2回を掲載。駒沢公園での個人練習に独占密着し、トレーニングの手応えから、話題の整形秘話まで赤裸々に明かしている。
48歳でプロ野球界復帰を目指し、さまざまなメディアに登場して注目を集める理由とは? そして、ストイックすぎる練習法とは? "番記者"インタビューマン山下が直撃!
■来年の大みそかにRIZIN参戦!? 対戦相手は......
新庄 見た? 俺のRIZIN参戦の記事。
――見ましたよ!(笑) RIZINの榊原信行CEOが新庄さんに会って口説きたいと言ってましたね。
新庄 榊原さんは俺がトライアウトに落ちると思ってオファー出しとるやろ(笑)。皇治からメールが来たよ。「RIZIN参戦お願いします」って。だから俺が「じゃあ皇治としようか?」って送ったら、あいつは「バット持ってでもいいですよ」って返してきたけど(笑)。
――(笑)。今年は無理でも来年の大みそかだったら、どうですか?
新庄 それは面白いかも。来年はプロ野球選手になって、トレーニングも積み重ねて体のケアもしてるはずやからね。対戦相手は誰やろ?
――キックボクシング経験者のGACKTさんでいかがでしょうか(笑)。
新庄 おお! それ面白いね。じゃあここで吹っかけておこうか。「GACKTかわいそうじゃない? 俺にボコボコにされるやろ」って書いといて。これで怒ってこい、GACKT!(笑)
――(笑)。プロ野球でも試合中に乱闘になったりしますけど、新庄さんはそういうときどうしてたんですか?
新庄 俺はベンチの裏でコーヒーを飲んでるタイプ(笑)。だってケガしたらバカらしくない?
――でも乱闘は行かないといけないのでは?
新庄 ないない。「野球選手は乱闘のときに出ていかないと罰金ですか?」ってよく聞かれるけど、それはないよ。
――え! あれは都市伝説だったんですね。じゃあ乱闘で危ない目に遭ったことはなかったんですか?
新庄 そうだね。でも試合中にベンチでバリー・ボンズとジェフ・ケントがつかみ合いのけんかを始めたときに「やめろ!」って止めに入ったら吹っ飛ばされたことはあったね。監督が止めに入っても、「うるせぇ! ボケ!」って感じで。
――もうそのふたりだとRIZINレベルですね(笑)。それこそメジャーのほうが乱闘は激しいんですよね?
新庄 相手ピッチャーがバッターに当てる。そしたら今度は自分のチームのピッチャーが相手のバッターに当てる。この繰り返しが多ければ多いほど乱闘の本気度は増すから。メジャーだと乱闘中にピッチャーの足をスパイクの刃で踏んだりするからね。それぐらい勝負にかけてるということよ。
――参加しなくても怒られなかったんですか?
新庄 「なんでやらない? 弱虫?」とは言われるけどね。そうやって言ってくる選手は「俺は乱闘で一番に出ていく根性のある男だよ」と見せたいタイプなの。みんなになめられないための行動のような気もするね。
阪神タイガース時代から付き合いのあるインタビューマン山下。新庄さんにはいつも「しげちゃん」と呼ばれている
■テレビ出演は「自分にプレッシャーをかけるため」
――バリ島から帰国後、多数のテレビ番組に出演していますが、その理由を「テレビに出ているのは自分にプレッシャーをかけるため」とコメントしていましたよね。
新庄 「おまえは野球選手になろうとしてるんだから、テレビとかチャラチャラ出なくていいんだよ」と世間から言われるのを俺は求めてるわけ。
失敗した時にテレビに出てたことを後から言われるやん? だから、わざとやらないといけない方向に追い込んで自分にプレッシャーをかけてるの。俺はそういう考えを昔から持ってたから。それってものすごく大事なことなのよ。
――「テレビで露出が増えれば、自分の商品価値が上がるから、それを球団にアピールする考えもある」とも、以前言ってましたよね。
新庄 それもあるね。だってプロ野球選手も人気商売やから。スカウトも番組を見てるだろうから、「夢に向かって一生懸命練習してるよ」というのを伝えるためにも出演してるのよ。
――しかし、改めて新庄さんはすごいことに挑戦してますね。
新庄 プロ野球選手が引退して1年休んだら、まあ動けんから。野球選手って太るやん。だから引退して14年ぶりの現役復帰なんて異例中の異例よ。
――でも新庄さんは引退後、一度も太ってないですよね。
新庄 太ってない。まぁ親が太るタイプじゃなかったから。
――引退後にトレーニングはやってたんですか?
新庄 モトクロスをやってたり、3万円の筋トレマシンみたいなのを置いたりしてたけど、どれも遊び程度よ。去年11月に「プロ野球選手になる!」って宣言したときのインスタグラムの写真を見たらわかるけど、一般の人よりはちょっといいくらいで、野球選手と考えたらガリガリやったからね。
バリ―・ボンズからもらったバットを元につくった「新庄モデル」のバット
■体が痛くても、ちょっとうれしい自分がいる
――現役復帰宣言から約1年。今日までどのようなトレーニングを積み重ねてきたんですか?
新庄 まずは14年間腐ってた筋肉を起こすためにウォーキングからスタートしたよ。その後にウエイトトレーニング、その次に目、足の運び、バッティング。帰国してからはバリでトレーニングした成果を感じながら、バッティングセンターで速いボールを打って目を慣らしてる。
――今は現役時代と同じような練習をしているんですか?
新庄 現役時代は試合が終わった後にウエイトトレーニングとかガンガンしてた。とにかくウエイトを大事にしてたね。でも今は筋トレしてないのよ。筋トレの期間はもう終わってて、今は瞬発系と治療に専念してる。治療で肩の骨とかが合ってきたら、またウエイトトレーニングをやると思う。その繰り返しやね。
本当はもう少しスピードのレベルを上げないといけないんやけど、そういう体力がまだないから。残り1ヵ月くらいになったら現役のときみたいな練習をして、ケガ覚悟の動きを一回バーンとしてみようと思ってる。
でも全部が初めてのことやから。自分で練習メニューや体のケアを考えてやってるだけやから、答えはないよ。答えは自分で探すだけ。
――手探り状態なんですね。
新庄 48歳になったら運動してみないとわからない。脳では「まだ動けるやろ」という感じなんやけど、実際に動くと「あれ?」ってなって、体のどこが遅れているのかわからないの。
でも、やってみてすぐできたら、おもしろくないやん。体をつくっていってトライアウトに合格するまでの過程がおもしろい。練習で体に痛いところがあっても、ちょっとうれしい自分がいるの。
トライアウトに向けて不安だけど、「俺、現役時代にこんなところを痛めたことなかったわ。これどうやって治療するんやろ?」って考えながら治療できたら、その治療法を今後、現役復帰したら使えるわけやん。
――なるほど。そういうことも探求しながら楽しんでいると。
新庄 今は肩や膝を治療するためにいろんな先生のところに行ってるし、とにかく練習で動いてみるというのを繰り返してる。「今度はテープを貼ってみよう。あ、これだったら2試合は持つな」とか考えながらね。トレーニングや治療を2、3ヵ月やって効果が出たら、俺がほかの選手にも教えられるやん。そのためには口だけやなくて経験しないと。
――現役時代にそういった経験はしなかったんですか?
新庄 ストレッチひとつしてなかった(笑)。それでできちゃってたから。だから今、めちゃくちゃ勉強してるのよ。
●新庄剛志(しんじょう・つよし)
1972年生まれ、長崎県対馬市出身(福岡県福岡市育ち)。1990年に阪神タイガース入団。2000年12月、日本人初の野手FA選手としてメジャーリーグに挑戦。ニューヨーク・メッツ、 サンフランシスコ・ジャイアンツで活躍。日本人初のメジャー4番、満塁本塁打、ワールドシリーズ出場の記録を持つ。現在は移住先のバリから帰国し、14年ぶりの現役復帰を目指している。最新刊『もう一度、プロ野球選手になる。』(ポプラ社)、公認応援歌『%1』(HARTY)が絶賛発売中