両クラブのサポーター、ファンが気の毒だし、サッカー界全体にとっても大きなイメージダウンだと語るセルジオ越後氏

残念なことにサッカー界で不祥事が相次いでいる。

10月19日、新潟が酒気帯び運転などの疑いで書類送検された外国人選手ふたりを契約解除。翌20日には仙台が交際女性への暴行報道を受けて道渕を契約解除。さらに26日にはG大阪のアデミウソンが酒気帯び運転と接触事故を起こした疑いで謹慎処分となり、捜査終了後にあらためて処分が決められるという。

事件を起こした当事者たちに責任があるのは当然だけど、新潟と仙台はその後の対応もマズかった。両クラブとも問題を公表せず、Jリーグ本部への正確な報告も行なわないまま、選手を試合に起用し続けたのだ。

確かに、選手を守るべく、事件の詳細をしっかりと把握し、短絡的な判断を下さないことも大事だ。でも、両クラブにそうした意図があったようには見えないし、記者会見での釈明も苦しいものだった。第三者による情報提供や週刊誌の報道によって事態が公にならなければ、そのまま黙ってごまかすつもりだった。そう批判されても仕方ない。

両クラブのサポーター、ファンが気の毒だし、サッカー界全体にとっても大きなイメージダウンだね。

スポーツ界に限らず、一般社会でもトラブルは起きてしまうことがある。そこで大事なのは、なぜそうなったのかをきちんと検証することだ。

今回のケースでいえば、新潟や大阪は外国人選手に日本の社会のルール、文化の違いをちゃんと教えていたのだろうか。国によっては飲酒運転をしてもクビになることはないかもしれないけど、日本では違うんだよ、文化が違うんだよと。

仙台の場合も同様だ。過去(前所属チーム時)に一度、同じような問題を起こしている道渕に対してチャンスを与えたのは決して悪いことではないし、それを生かせなかったのは本人の責任。でも、再び問題を起こしたらイエローカード(警告)2枚でサッカー界から退場だよと危機感を持たせることができていたのか。

僕自身、アイスホッケーのH.C.栃木日光アイスバックスというチームの運営に長く携わっているんだけど、そのあたりは本当に気を使っている。

例えば、契約書の内容も細かくて、警察のお世話になるようなことがあったら即契約解除、試合以外のPR活動への協力義務などもすべて文章にし、サインするときに確認し合うようにしている。単にプレーすればいいわけじゃない。クラブを象徴する顔だということを意識して行動してほしいとね。

それでも10年以上前に、ある選手が酒に酔って暴行事件を起こしたことがあった。ファンに人気もあって、人間的にも信頼できる選手だったけど、すぐに謝罪会見を開いて契約解除とした。酒に酔ってのことだし、一度の失敗でキャリアを絶つ必要はない。

でも、残念だけど、ルールで決めている以上、うちではもう無理だよと。本人も処分に納得していた。それとは逆に、かつて所属していたチームで問題を起こしたものの、それから心を入れ替え、うちに来てから力を伸ばし、主力になった選手もいる。

スポーツばかじゃないけど、一般常識のない選手はどの競技でも一定数いる。Jリーグは新人選手に研修を行なっているものの、その後の管理体制はチームによってまちまち。でも、こうして問題が相次いで起きた以上は、各クラブはもちろん、Jリーグもなんらかの手を打つ必要があるだろう。

★『セルジオ越後の一蹴両断!』は毎週木曜日更新!★