今回は攻撃面の改善を期待したいと語るセルジオ越後氏

日本代表がオーストリアでパナマ(13日)、メキシコ(17日)と親善試合を行なう。パナマは一昨年のロシアW杯に出場しているけど、それほど強いわけではないし、確実に勝利を求めたい。一方、メキシコはW杯常連国の強豪。今の日本の実力を知るには絶好の相手だ。

10月のオランダ遠征の結果は1勝1分けと悪くなかった。でも、試合内容にはかなり不満が残ったね。負けないための守備的なサッカーで、実際、守備は安定していた。ボランチから後ろは人材がそろっているし、長友の代役を務めた中山も悪くなかった。

一方で攻撃に関しては、久しぶりの試合とはいえ、チームとしての攻めの形がまるで見えず、流れのなかからの得点はゼロ。試合を見ていてモヤモヤとしたファンも多かったんじゃないかな。

それだけに今回は攻撃面の改善を期待したい。10月の2連戦は全体的に引いて、2列目の選手も自陣での守備に奔走していた。だから、ボールを奪ってもトップの選手と距離が空いていて、攻め上がりに時間がかかる。どうしても少ない人数でのカウンターばかりになってしまう。それではなかなかチャンスをつくれないよね。

そういう守備的な戦い方を全否定するつもりはないけど、コロナ禍のなかでせっかく組んだ親善試合なのだから、攻撃も試さないともったいない。失点リスクが高まることは覚悟の上で、もっと最終ラインを押し上げ、攻撃に人数をかけてほしい。そうすることで初めて見えてくることがあるのだから。負けても次につながるよ。

大事にパスをつなぐのもいいけど、個人の特徴を生かした仕掛けるプレーも見たい。90分間を通して点を取りに行く姿勢を見せられるか。特にパナマ戦には大量得点を狙うくらいの気持ちで臨んでほしい。

森保監督に関していえば、10月のコートジボワール戦では、セットプレーから途中出場の植田がゴールを決めて勝ったけど、植田は守りを固めるために投入されたわけで、決して采配が的中したということではない。だから今度は点を取るための選手起用、采配を見たい。

また、彼は人柄がいいんだけど、選手を怒るところを見たことがない。優しすぎるというか、気を使いすぎているように見える。ただでさえ彼が監督になってからはメンバーの入れ替えが少ないのに、いつもあんな態度では選手になめられてしまうよ。日本代表の歴代外国人監督のように、もっと選手に多くを求めていいと思う。

古い話で恐縮だけど、僕のプロデビュー当時の監督のことを思い出した。ハーフタイムに「後半もいけるか?」と聞かれて「大丈夫です」と答えたら、「そうだよな。前半、何もしていないもんな」と言われたんだ。

ムッとして後半は頑張って、今度はホメられるかなと思っていたら、「おまえはサッカー人生の45分をムダにした」だからね。でも、選手と監督の関係はそれくらいの緊張感があっていい。

話がそれたけど、いずれにしても今回の2連戦でも守るだけのサッカーをするようなら、厳しい批判が出ないとおかしい。

また、メキシコは日本と戦う3日前に韓国とも親善試合を行なう予定だ。となれば、少なくとも韓国以上の内容、結果を求めたい。この2連戦をスッキリと勝って、いいムードで来年を迎えたいね。

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