日本代表には結果を期待したいと語るセルジオ越後氏

昨年はサッカー界もコロナの影響によって大きなダメージを受けた。

Jリーグの各クラブは入場料収入などが激減し、選手も過密日程で疲弊。頼みの海外組も、期待されていた選手たちがあまり活躍できず、A代表も五輪代表も試合が少なく、メディアでサッカーが取り上げられる機会自体が減ったように感じた。

スポーツ観戦どころじゃない、という人も多かったのだろう。実際、長年続いていたサッカー番組『やべっちF.C.』の地上波での放送も終了したしね。率直に言って、世間の"サッカー離れ"を痛感した一年だった。

そんな苦しい状況からどう立て直すのか、それともこのまま沈んでいくのか、2021年は日本サッカーにとって重要な年になる。

目玉はなんといっても7月の東京五輪。コロナがどうなるかは誰にも予測できないし、まだまだ乗り越えないといけないことはたくさんある。それでも、今はどうにか開催されることを願いたいね。

そして、日本代表には"結果"を期待したい。結果とはメダルのこと。森保監督の「金メダルを目指す」との言葉を信じたいし、個人的にはどの色でもメダルを獲(と)ったら大成功だと思う。

というのも、日本人は五輪のメダルがとにかく大好き。1968年メキシコ五輪以来のメダル獲得となればものすごく盛り上がるだろうし、9月から始まる予定のカタールW杯アジア最終予選に向けても弾みがつく。

もちろん、決して簡単なことではないよ。本番までもう半年しかないというのに、五輪代表はどういうメンバーで、どういうサッカーをやるのかいまだ見えてこない。

また、五輪本番までに予定されている強化試合も本当に開催できるかわからないし、主力になるだろう海外組の中には、所属クラブが選手の五輪への派遣を渋るケースが出てくるかもしれない。

それでも地元開催は大きなアドバンテージ。予選リーグの組み合わせはラクになり、練習、移動、宿泊など環境面の不安もない。ここまではメディアの注目度も期待度も低いけど、選手たちはなんとか結果を出して、見返してほしいね。

A代表を兼任する森保監督に関していえば、東京五輪が終わるまでは五輪代表に専念すべきだろう。A代表は3月と6月にW杯アジア2次予選の残りの4試合があるけど、相手はいずれも格下。正直、誰が監督をやっても問題なく勝てるはずだ。

最後に五輪世代で期待している選手をひとり挙げるなら、昨季のJリーグでブレイクした三笘(川崎)かな。この連載でも何度か取り上げたけど、彼の左サイドからの積極的かつタイミングのよい仕掛けは素晴らしく、相手DFに寄せられても簡単に倒れず、シュートもうまい。これからどれだけ伸びるか楽しみだし、五輪代表でもどれだけできるのかを見てみたい。

もちろん、川崎のサッカーと五輪代表のサッカーは全然違う。また、そもそも五輪代表の2列目は人材豊富な激戦区なんだけど、そこに三笘が名乗りを上げてくれれば、久保(ビジャレアル)、堂安(ビーレフェルト)、三好(アントワープ)ら、今季は思うように活躍できていない海外組にとっても大きな刺激になる。そうやって競争が生まれることでチームのレベルは上がる。

東京五輪まで残り半年、五輪世代の猛アピールを期待しよう。

★『セルジオ越後の一蹴両断!』は毎週木曜日更新!★