Jリーグは元気だぞ、面白いぞと明るいニュースを届けてもらいたいと語るセルジオ越後氏

今月末のシーズン開幕に向け、Jリーグ各クラブが始動している。

オフの移籍市場では今季も多くの動きがあった。ただ、新型コロナウイルスによる各クラブへの財政面への影響は否めず、大物選手の移籍は少なく、全体的に地味。

最も目立ったのが、昨季得点王&MVPの柏のオルンガが中東のクラブ(アル・ドゥハイル)に引き抜かれたことというのは皮肉だ。Jリーグで目覚ましい活躍をした外国籍選手が中東に移籍してしまうのは近年のトレンドとはいえ、やっぱり残念。

ただ、コロナ禍の今季に限っては例年以上に「仕方がない」とも感じる。昨季、リーグ&天皇杯の2冠を獲得した川崎でさえ、赤字見込みの苦しい台所。入場料、グッズ販売の減収はそれだけ大きい。

(中村)憲剛が引退し、ボランチの守田もポルトガルのサンタ・クララへ移籍。その穴を埋めるべく、名古屋からシミッチを獲得するなどしたけど、戦力的には現状維持かややマイナスだろう。

アジアチャンピオンズリーグ(ACL)に出場するほかの上位クラブを見ると、唯一、名古屋が柿谷(C大阪)、齋藤(川崎)、長澤(浦和)など積極的な補強を行なった。選手層も厚くなり、リーグ優勝を狙えるだけの戦力がそろったと思う。

ただし、ACLとのかけ持ちを考えるとまだまだ物足りないし、不安も残る。特に不慣れなACLでどこまで戦えるかは未知数。

同じくG大阪、C大阪も両方を戦うための体制は整っていない。

こうした状況にあって、期待したいのは若手のアピールだ。各チームとも財政面が苦しく、「今季の目玉選手は誰?」という今は、ある意味、名前を売るチャンス。いつまでもカズ(三浦知良、横浜FC)頼みのJリーグではダメだよ。

そういう視点で個人的に注目している選手を3人挙げると、まず王者・川崎の三笘。昨季の勢いは本当にスゴかったよね。タイミングのよい飛び出しから、ボールを持てば積極的に仕掛け、相手DFに寄せられても簡単に倒れない。シュートも精度が高い。

五輪代表、A代表でも十分通用すると思わせるプレーを見せていた。堂安(ビーレフェルト)や久保(ヘタフェ)と比べても遜色はない。相手のマークが厳しくなるだろう今季も同様の活躍ができるなら本物だ。

もうひとりは三笘と同じ東京五輪世代の上田(鹿島)。以前はちょっとひ弱なところがあったんだけど、昨季の後半は相手の激しい当たりにも負けなくなり、年間2桁得点(10点)を決めた。

FWは今、日本代表で一番の課題となっているポジションだけにさらなる成長に期待したい。まずは五輪代表での定位置確保が目標になる。

そして最後はさらに若い18歳の西川(C大阪)。彼は高校時代から注目されていて、スピードに乗ったドリブルが持ち味。青田買い的な海外移籍の噂もよく出る選手だけど、C大阪ではまだ主力になれていない。今季は監督がクルピに代わって先発の機会も増えるかもしれないし、飛躍の一年にしてもらいたい。

Jリーグは今季も交代枠が5人になる見込み。引き続き通常シーズンよりも選手の出場機会は多いわけだから、この3人に限らず、若手にはイキのいいところを見せてもらって、Jリーグは元気だぞ、面白いぞと明るいニュースを届けてもらいたい。

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