「スマートスイミングレッスン」を体験した山本(左)と池江

フィットネスクラブ大手のルネサンスは8日、「『スマートスイミングレッスン』新サービス発表会」を開催。同社に所属する池江璃花子選手山本茉由佳(まゆか)選手のデモンストレーションが公開され、ふたりは驚きの声をあげていた。

「スマートスイミングレッスン」はソニーネットワークコミュニケーションズのセンシングやAIなどICT技術を活用した"映像練習サービス"。天井や水中など施設内に複数設置されたカメラが、泳いでいる人を自動追尾し撮影する。同社では2017年に「スマートテニスレッスン」を導入し、19年より今回のサービスの開発を始めた。

撮影された映像は練習中に活用するだけでなく、AIで自動編集された自身の映像やお手本動画をレッスンの前後に確認することで、練習の予習復習が可能になる。またそのほかに、練習成果を確認する「進級テスト結果配信システム」や安全安心を届ける「安全管理サポートシステム」が用意されている。

ルネサンスでは、全国約80店舗で6月から順次導入予定。ジュニアレッスンから導入されるが将来的にはマスターズなど大人の練習での活用も視野に入れている。同社代表取締役社長執行役員の岡本利治氏は「スイミングスクール業界に革新を起こすような素晴らしいサービス」と断言。「当社のみならず、スイミングスクール業界の発展にも大きく寄与することを期待している」と水泳界の底上げを期待する

これまで水中カメラなどの設備は限られた施設のみにしかなく、準備や撮影自体に手間がかかるため、トップ選手でも使用できる機会は限られていた。世界的トップスイマーである池江選手でも、水中カメラを使用した練習は合宿など年に2、3回と数えるほど。「スマートスイミングレッスン」はそれが日常的に誰でも利用できる革新的システムなのだ。

この日は実際に池江選手、山本選手が使用したデモンストレーション映像も公開。水中やターン時の映像が映し出されると、池江は「え、これすごい! (映像が)きれい。冗談抜きで」と驚愕。そして山本の映像を確認しながら「なんか直したくなる」とコメント。担当者によると「(池江から)『見やすい』という言葉があった。練習意欲をのぞかせていた」とのこと。

現在、池江らふたりは日大水泳部に所属しているが、今後ルネサンスの施設で練習する際は、「スマートスイミングレッスン」を使用する予定。近年、陸上競技ではICT技術を日常的に活用することで発展してきた。水泳界でも「スマートスイミングレッスン」が大きな飛躍につながることに期待したい。