ストップ川崎の一番手を挙げるなら鹿島だと語るセルジオ越後氏

いよいよJリーグが開幕するね。昨季は新型コロナウイルスの影響で約4ヵ月間の中断を余儀なくされ、過去に例のない超過密スケジュールのなかで開催された。選手はじめ関係者は本当に大変だったと思う。

今季はJ1が18チームから20チームになって試合数が増え、東京五輪による夏の中断期間もある厳しい日程なんだけど、それでも昨季より負担は少し減るだろう。

ただ、今季もコロナには振り回されそうだ。特に気になっているのは、入国制限によっていまだ来日できていない外国人選手が多いこと。当然、チームづくりは難しくなる。

7季ぶりにJ1に昇格した徳島に至っては、ポヤトス新監督が不在のまま開幕戦を迎えることになりそう。こんなこと前代未聞だよね。4チームが降格する今季は、激しい残留争いが予想されるだけにこの出遅れは痛いし、気の毒。徳島には全員がそろうまでなんとか踏ん張ってほしい。

優勝候補の筆頭は、やっぱり昨季王者の川崎。われながら面白くない予想だけど仕方ないよ。それだけ昨季は圧倒的な強さを見せた。

チームの顔である(中村)憲剛が引退し、守田、齋藤が移籍したものの、名古屋からシミッチを獲得し、ケガの長谷川が復帰。大分に期限付き移籍していた知念も戻ってきた。三笘や田中らのさらなる成長も期待できるし、戦力ダウンの心配はない。

特にシミッチは体が大きい割に長短の正確なパスが出せて、川崎のサッカーにハマりそうな予感がするね。

また、今季も継続される5人交代制も、選手層の厚い川崎には有利に働く。オフに憲剛に話を聞いたとき、「3人交代とは全然違いますよ」と言っていたけど、実際、昨季の川崎は交代枠をうまく使って90分間、質の落ちないサッカーをやっていた。あれは攻撃陣に切り札の多い川崎ならでは。どのチームにもマネできることではない。

ただ、昨季ほどの独走は難しいだろう。変則開催となるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)との両立もあるし、他チームが昨季以上に「ストップ川崎」を掲げて研究してくるからね。

どこからでも点の取れる川崎の攻撃の起点である家長、ボールを動かす名人の彼を徹底マークしてくるはず。また、家長に限らず、相手が球際で激しくくるのは間違いない。最終ラインを上げ、高い位置でプレッシャーをかけ続けられると川崎もいやなはず。ケガも怖い。それをどう乗り越えるか。

そのストップ川崎の一番手を挙げるなら鹿島だ。中国移籍が噂されていたエースのエヴェラウドの残留は大きいね。世代交代も着実に進み、以前は少しひ弱なイメージがあった上田も昨季後半に大きく成長した。

そこに新加入のブラジル人ふたり(ピトゥカ、カイキ)がフィットすれば面白い。今季はACLに出場せず、Jリーグに集中できるのも好材料だ。

昨年11月の川崎との対戦では、序盤こそ相手にペースを握られて先制点を許したものの、後半はレオ・シルバ、三竿らが中盤で激しいプレッシャーをかけ、川崎に思うようなサッカーをやらせなかった。そして、最後はエヴェラウドが決めて1-1の同点に追いついた。試合内容では上回っていたんじゃないかな。

両チームにはぜひまた見応えのある試合を期待したい。

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