最近、クラブや代理人が選手を守りすぎているように感じると語るセルジオ越後氏

Jリーグが開幕した1993年から28年続いたサッカー情報番組『スーパーサッカー』(TBS系)が3月いっぱいで終了する。昨年9月に終わった『やべっちF.C.』(テレビ朝日)に続いた格好だ。

プロスポーツは目立ってなんぼ。地上波のサッカー番組が立て続けに終わるのはとても残念。両番組ともサッカー愛の伝わってくる番組だったから、なおさらそう思うよ。

でも、需要がなくなったのであれば打ち切りも仕方ない。すべてのサッカー関係者はこれがJリーグの現状だと真摯(しんし)に受け止めなければいけない。

昨今は日本代表戦も視聴率が低下し、チケットが余ることもある。スポーツ新聞を見てもサッカーの枠はどんどん小さくなり、テレビのスポーツニュースでサッカーが取り上げられる時間も短い。果たして、今季のJリーグがすでに開幕していることをどれだけの人が知っているだろう。

確かに、昔と違って今はネットがある。いつでも欲しい情報は手に入るし、世間の関心もいろいろなものに分散している。サッカーほど危機的ではないにしても、プロ野球も似たような状況にあるのかもしれない。時代の流れといえる部分もある。

また、サッカーに関していえば、「DAZN」に加入していれば、地上波のサッカー番組がなくなっても別に困らないというファンも多いだろう。

でも、本当にそれでいいのか。先日、メルカリの会長でもある鹿島の小泉文明社長がSNSでこう発信していた。

「民放でサッカー番組の打ち切りが連発してる事にはリーグとして対応していかないと本当に危ない」「テレビなんて今は見ないみたいな事言う人も多いんですが、ネット企業が沢山テレビCMやってるように、今でもテレビは多くの人に見られてるメディアなので、僕はリーグで枠を買って番組提供する必要あると思ってます(原文ママ)」。

まったくもって同感。大賛成だよ。熱心なファンだけを相手にしていたら人気は先細りする。新しいファンを獲得することで、結果的にスタジアムに足を運ぶ人が増え、DAZNの加入者が増えるわけで、そのためにも地上波での露出は欠かせない。この小泉さんの抱く危機感を、日本サッカー協会やJリーグ本部の幹部がどれだけ共有できているのだろう。

地上波に限らず、どうすれば露出を増やせるのか。個人的には最近、クラブや代理人が選手を守りすぎているように感じる。せっかく活躍して注目を集める機会を得ても、「取材は10分でお願いします」といった具合だ。質問がなくなるまで取材対応させるとか、いっそのことスポーツニュースやワイドショーで取り上げてくださいと売り込むくらいでいいのに。

選手に関していえば、プレーを頑張ることが最優先にしても、ファンあってのプロだということを忘れてはいけない。SNSだけやっていればいいというのではなく、メディアと持ちつ持たれつの関係をうまく築いてほしい。

Jリーグが開幕する少し前の話だけど、川淵(三郎)さんが「どんな記事でもいいからサッカーの記事を書いてもらえ。たとえ悪口でもいい」と言っていたことをよく覚えている。そして、自らも積極的にメディアに出て、「面白いリーグにするから見に来てください」とアピールしていた。それが原点。今の日本サッカーに必要なのはそういう姿勢じゃないかな。

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