まだシーズンは始まったばかりだけど、Jリーグは今季も新型コロナウイルスに振り回されているね。
本来、チームの核となるべき外国人選手がいまだ合流できていないチームは不公平さを感じているだろう。7季ぶりにJ1に昇格した徳島に至ってはポヤトス監督が来日できていない。
また、昨季2位のG大阪はクラスターが発生し、6試合が中止となった。今後、代替日が設定できなければ、最悪6戦全敗扱いになるという。
でも、さすがにそれは気の毒だよ。コロナ感染は誰にでも起こりえること。G大阪も感染予防対策を取っていたはず。昨季はルヴァン杯決勝の日程を延期して1月4日に行なったけど、シーズン終了を遅らせてでもG大阪には試合を行なわせてあげたい。東京五輪期間中の試合開催も検討すべきだ。
そんななか好スタートを切ったのが、昨季王者の川崎と昨季3位の名古屋。まず川崎は独走で優勝した昨季と同等の力をキープできているね。5人交代制をフル活用し、試合ごとに細かくスタメンを入れ替えるなどして勝ち点3を着実に積み重ね、暫定首位に立っている。
前線ではレアンドロ・ダミアン、小林 悠と点を取るべき人が点を取っているのが大きい。昨季大活躍した三笘(みとま)がまだ1得点なのは少し気になるけど、相手のマークが厳しくなっていることを考えれば、ある意味仕方ない。この壁を乗り越えればもうワンランク上の選手になれる。
守田(サンタクララ)が移籍した中盤では、名古屋から加入したシミッチが試合を重ねるごとに良さを出せるようになってきた。そして、GKのチョン・ソンリョンも含めた最終ラインの安定感は相変わらず。昨季から言っていることだけど、谷口が日本代表に選ばれないのは不思議だね。
2位の名古屋はクラブ史上初の開幕6連勝。ランゲラックという素晴らしいGKがいて、センターバックのふたり(丸山、中谷)も安心して見ていられる。イタリア人のフィッカデンティ監督らしい、1-0で守り勝つサッカーがチームに定着している。攻撃的な川崎のサッカーとは実に対照的だ。
ただ、守備的だからといって名古屋のサッカーがつまらないわけじゃない。両サイドから一気に攻め上がるカウンターは迫力、見応えがある。そして中盤のマテウス、稲垣はシュートへの意識も高い。5月の川崎との直接対決が今から楽しみだね。
一方、期待外れのスタートになったのは、開幕前に僕が「ストップ川崎」の一番手に挙げた鹿島。伝統的に守りが売りのチームなのに、開幕戦では清水相手にわずか10分間で3失点して逆転負け。その後もチグハグな戦いを続けている。
ただ、楽観的に考えるなら、スタートが悪かったのは昨季も同じ。いまだ無得点のエースのエヴェラウド、故障から戻ってきた上田、さらにこれから合流予定の新外国人(ピトゥカ、カイキ)の活躍次第では十分巻き返せると思う。そして、それは外国人選手の合流が遅れているほかのチームにも言えること。
川崎と名古屋は今後、負担の大きいアジアチャンピオンズリーグを控えている。それがJリーグでの戦いにどう影響するか。両チームが優勝候補なのは間違いないけど、シーズンは長いし、このまま突っ走るとは思わないね。