今季のJリーグについて語った宮澤ミシェル氏 今季のJリーグについて語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第196回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、Jリーグについて。「今年のJリーグは面白い試合が多い」と語る宮澤ミシェル。その中でも特に注目のチームは名古屋グランパスだという。

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日本代表とU-24代表の活動期間が終わってJリーグが再開されたけど、面白い試合が多いんだよ。

なかでも注目しているのが名古屋グランパス。開幕からの連勝はリーグ再開後2戦目となったFC東京に引き分けに持ち込まれてストップしたけど、9試合を終えて7勝2分け。首位を走る川崎の背中にピッタリくっついてる。

名古屋の何に注目してるかって言えば、やっぱりあの守備力だよ。開幕戦の福岡戦で1失点しただけで、その後は8試合連続で無失点。Jリーグ新記録を打ち立てたけど、福岡戦の1失点だってオウンゴールだからね。

Jリーグは川崎フロンターレが結果を残したこともあって、どこもかしこもポゼッションサッカーを志向している。でも、そのなかで名古屋がやっているサッカーは真逆。イタリア代表のように守備の圧力を高めて、ボールを奪えば一気に攻め込んでいく。

みんなが同じスタイルを目指してもつまらないからね。名古屋のような独自の路線を歩むチームには目が行っちゃうんだ。

ただ、勘違いしてもらいたくないのは、名古屋のサッカーは守備に徹したカウンターサッカーではないことだよ。

相手にボールを持たれた時は守備のブロックをしっかり作って跳ね返して、ボールを奪えば前線のタレントは最初にタテを狙い、それが無理ならサイドに起点を作りながら相手を押し込んでいく。

攻撃陣には柿谷曜一朗と山崎凌吾がいて、マテウス、相馬勇紀、前田直輝でしょ。ガブリエル・シャビエルや齋藤学もいる。阿部浩之がベンチを温める試合が多いくらいタレントが充実しているんだけど、やっぱりDF出身としては守備陣に目が向くよな。

GKランゲラクは1試合に何度もスーパーセーブをするし、それができているのもCBの丸山祐市と中谷進之介が最後の最後まで体を張ってシュートコースを限定しているから。ボランチの稲垣祥と米本拓司も効いているし、C大阪から加入した木本恭生と浦和から加わった長澤和輝もいぶし銀の働きを見せている。

スタメンとバックアップに力の差がないし、守備がベースのサッカーだから、誰が出ても安定した戦いができるのは強みだよ。川崎との直接対決が4月29日に控えているけど、この戦いは目が離せないよ。

チームでは名古屋だけど、選手個人で注目しているのは、やっぱり大久保嘉人だね。38歳の今季はC大阪に15年ぶりに復帰。大久保は昨季はJ2の東京ヴェルディだったから、2019年のジュビロ磐田以来となるJ1の舞台になったけど、得点感覚は相変わらず素晴らしいよね。

開幕戦の柏戦でのゴールは今季にかける大久保の意気込みが感じられたな。体重を絞ってシーズンに臨んだことで切れ味鋭い動きだったし、あのゴールで波に乗ったよね。そこから4試合で4得点だもの。

再開後はゴールは遠いしシュートも打ててないんだけど心配はしてないよ。あれだけ実績のある選手だし、C大阪の2列目には清武弘嗣や坂元達裕などのチャンスをつくり出せる選手が揃っている。大久保はゴール前での動き出しに専念していれば、必ずゴールを量産してくれるはずだよ。

FWで言えばヴィッセル神戸の古橋亨梧にも注目しているんだ。あのスピードはDFにしたら脅威だし、何より「得点を決めてやる」という気迫のようなものが彼には常にある。

ここまで6ゴールは、得点ランキングで8得点のアンデルソン・ロペス(札幌)、7得点のレアンドロ・ダミアン(川崎)に次ぐもの。アンドレス・イニエスタがチームに加わってくれば、古橋のゴールはもっと増えていくんじゃないかな。得点王を狙って欲しいと期待しているんだ。

これからの気候はサッカーをするには最高だし、6月には日本代表戦があって、7月には東京五輪も控えている。それぞれの代表入りを狙う選手たちはアピールに必死だから、今回は触れられなかったチームや選手たちも素晴らしいプレーを見せてくれるのは間違いない。だからこそ、みなさんもしっかりJリーグをチェックしてくださいね!

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