チャンピオンズリーグの決勝戦について語った宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第201回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、チャンピオンズリーグについて。5月30日にいよいよ行なわれる決勝戦、マンチェスター・シティ対チェルシーの見どころを宮澤ミシェルが語る。

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コロナ禍のなかで始まった20-21シーズンもクライマックスを迎えたね。いよいよチャンピオンズリーグの決勝だよ。

5月30日に行なわれる大一番には、マンチェスター・シティとチェルシーが勝ち上がった。互いの手の内を知り尽くしているプレミア勢同士だから、どんな試合になるのか楽しみでならないよ。

今季のシティはグアルディオラ監督のつくるチームらしさに溢れていたね。攻守のバランスがよくて、ポゼッションからの攻撃力に優れている。プレミアリーグを圧倒的な強さで制したのもあって、シティが優位と思っている人は多いんじゃないかな。

だけど、そう簡単ではないと思うよ。シティの今季の戦績は、チェルシー戦に限れば、1月3日のリーグ戦で対戦した時は3-1で勝ったけれど、1月末にトーマス・トゥヘルがチェルシーの監督に就任してからは勝っていないんだ。

4月17日のFAカップ準決勝は1-0でチェルシーが勝利し、5月8日のリーグ戦第36節も1-2でチェルシーの勝ち。

シティがベストメンバーを組んでいなかったことも敗因のひとつかもしれない。でも、じゃあベストメンバーなら勝てた相手なのかといえば違うと思うな。チェルシーはシーズンが深まるにつれてチーム力を高めてきたんだよね。

昨季はPSGをCL決勝に導いたトゥヘル監督に代わってからは、選手の結束力が高まって、タフさや運動量の多さで守備が強まっているね。

カンテとジョルジーニョ、ギルモアのいる中盤もすごいんだけど、チアゴ・シウバ、アンドレアス・クリステンセン、アントニオ・リュディガーの3バックは、まったく破られそうにない雰囲気が漂っている。実際3人でほとんど相手を封じてしまうもんな。

あとは大一番を制するには、攻撃陣がチャンスで決めきれるか。FWティモ・ヴェルナーやMFメイソン・マウントといった選手たちが、大舞台の重圧を跳ね返して普段通りの実力を発揮できれば、2011-12シーズン以来2度目のCL優勝を手にできると思うよ。

ただ、グアルディオラ監督のことだから、同じ相手に3連敗はしない気もするよな。16-17シーズンにシティの監督に就任してから初めてのCL決勝だけど、バルサでもバイエルンで何度もCL決勝を経験している監督だから、なにか策を練ってくると思うよ。

シティは豪華なタレントのなかでもデ・ブライネに注目が集まるけど、個人的にはギュンドアンが鍵を握るんじゃないかなと思っているんだ。

黙々としぶとくプレーする選手で華はないけれど、デ・ブライネと同じくらいボールに触ってゲームをつくっていく。彼のところがしっかり機能すれば、シティがいつも通りのリズムをつくり出すだろうし、逆にチェルシーは彼のところを潰せばペースを手繰り寄せられるんじゃないかな。

もうひとり注目しているのが右SBのカイル・ウォーカー。フィジカル能力がすごくて、スピードもあって、想像を超えた次元でサイドを崩すんだよ。切羽詰まった状況になったときに個の力で何度もチームを救ってきた。そういう選手が大舞台でも輝く気もするね。

あと、シティが勝つにはDFラインでミスをしないこと。自分たちのリズムで試合を進めて、あとは点を決めるだけという段になって、ミスから流れを失うことはサッカーでは多々あることだからね。

槍(やり)のマンチェスター・シティか、盾(たて)のチェルシーか。どちらが勝つんだろうね。いずれにしろ、最後の最後にすごいドラマが待っている気がするな。それだけに、キックオフが待ち遠しいよ。

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