結果は予想の範囲内。なんの驚きもなかった。そして、これだけ力の差があると、選手も森保監督も評価するのは難しい。
W杯アジア2次予選のミャンマー戦(5月28日)で、日本は10得点を奪って大勝。3月のモンゴル戦(14-0)に続く2桁得点で、9月から始まる最終予選への進出を決めた。
モンゴルにしても、ミャンマーにしても、コロナ禍の大変な状況にあってよく来てくれたと思う。点差が開いても集中を切らさず、最後までフェアに戦ってくれた。
特にミャンマーは軍事クーデターによる混乱のなかにあって、サッカーどころではなかったはず。実際、軍事政権に抗議をする意味で招集を辞退した選手もたくさんいたそうだ。また、国歌演奏時、軍に向けて抗議のジェスチャーをしている選手がテレビに映っていたけど、あれは大丈夫なのかな。帰国後に困ったことにならないだろうか。心配だね。
いずれにしろ、もともとの力の差が大きかったことに加え、ミャンマーはコンディション面、精神面など大きなハンデを背負っていた。日本が2桁得点を挙げたのはある意味当然。失礼を承知で言えば、この日のミャンマー代表なら高校生でも勝てたと思う。
5点取った大迫、W杯予選6試合連続ゴールを決めた南野も「スゴい」という評価にはならない。むしろ選手たちも、この試合の出来をもって絶賛されても困惑するだろう。
テレビ中継ではベンチにいる久保を何度も映して盛り上げようとしていたけど、さすがに無理があった。収穫を挙げるなら、ケガ人が出なかったことくらいだ。
W杯予選だから格下とも試合をしなければならないのは仕方ない。でも、欧州勢や南米勢は予選から拮抗(きっこう)したレベルでの試合を数多くこなしている。ミャンマー戦やモンゴル戦のようなミスマッチの試合をやっている限り、世界との差は縮まらない。これは日本に限った話ではなく、アジア全体が抱えるジレンマ。弱いチームが多すぎるんだ。
率直に言って、W杯予選の方式を変えないと、今後もアジア勢がW杯で結果を出すのは難しい。FIFA(国際サッカー連盟)の世界ランキング上位国は最終予選から登場させるくらいの思い切った改革が必要だ。
この点に関しては選手たちもそう思っているようで、ミャンマー戦前日、主将の吉田は「この予選(の方式)が正しいのかどうかはわからない」「たくさん点を取って(中略)問題提起をAFC(アジアサッカー連盟)に投げかけたい」「世界大会でアジア勢が結果を出すためには、何をしなければいけないのか」とコメントしている。
要するに、予選の方式に改善の余地があるのではないかというわけだ。さすがキャプテンだね。難しい立場なのに、よくここまで踏み込んでくれた。
でも、逆に言えば、選手にそんなことまで言わせたくなかった。本来ならば日本サッカー協会の田嶋会長が考え、行動を起こすべきだけど、FIFA・AFCの理事でもある彼には無理だろう。
FIFAにとっても、AFCにとっても、放映権料やスポンサー収入を考えれば試合数が多いほどいい。実際の効果はともかく、サッカーの普及拡大のためという大義名分も立つからね。
でも、繰り返すけど、今の予選方式では日本のレベルアップにも、アジア全体の底上げにもつながらない。これは本当に困った問題だよ。