交流戦優勝、そして37年ぶりの11連勝で楽天、ソフトバンクをぶち抜いてパ・リーグ首位に浮上!! オリックス・バファローズの快進撃が止まらない。
オリックスファンが集まる大阪市北区の居酒屋「酔勝家(すいしょうか)」の中村豊和店主も興奮を抑えきれない。
「今年は福田周平、宗 佑磨が成長して1、2番を任せられるようになりました。去年までは3番の吉田正尚が勝負してもらえなかったんですが、"ラオウ"こと杉本裕太郎が別人のように急成長して4番に入り、上位打線がやっと確立したんです。
あとはリリーフ陣のヒギンスと澤田圭佑がケガから戻ったことも大きいですね。そしてメジャーから帰ってきた平野佳寿! これで勝ちパターンが固定できたので......(以下略)」
そりゃ、興奮するのも当たり前。オリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズの合併で現在の「オリックス・バファローズ」が発足して以来、昨年までの16シーズンでAクラスはわずか2回、最下位になること6回。
2016年にはオープン戦、1軍、2軍、交流戦ですべて最下位となる史上初の"完全最下位"という不名誉記録まで達成してしまった。
しかし、現在の躍進につながる転機は、実はこの完全最下位イヤーの翌年に訪れていた。17年3月に、2軍の本拠地や寮、練習場を従来の神戸から、大阪の埋め立て地である舞洲(まいしま)へ丸ごと移転したのだ。
1軍は球団合併後、3年間の大阪・神戸ダブル本拠地期間を経て、08年からすでに大阪を本拠地としていた。この1、2軍の"ねじれ"が解消されたことが、チームに大きな影響を与えたという。スポーツ紙デスクが解説する。
「球団合併前の本拠地が神戸だった頃は、選手寮と隣接する室内練習場が本拠地球場から徒歩数分の近さにあり、2軍はもちろん1軍でも試合後に練習する選手が多かった。あのイチローさんも、試合後に深夜2時、3時まで打ち込んでいたという伝説的なエピソードがあるほどです。
ところが、合併して1軍のメイン球場となった大阪の京セラドームまでは、寮や練習場からクルマで1時間以上。1軍選手は試合後の練習が事実上できなくなってしまったんです。それが17年、京セラドームからクルマで15分ほどの舞洲に寮や練習施設が移転したことで、再び選手たちが練習に打ち込める環境が整ったというわけです」
ちなみにこの舞洲の室内練習場は、神戸時代よりもかなり広く、ウエイトなどの設備も充実しており、24時間練習が可能だという。
エースの山本由伸をはじめ先発の山岡泰輔や宮城大弥、4番のラオウこと杉本、ショートの紅林弘太郎、リリーフの漆原大晟や富山凌雅が......といった今の躍進を支える若手の面々は皆、舞洲で切磋琢磨(せっさたくま)してきた選手たちだ。
「昨季途中から1軍の指揮を執る中島聡監督は、米パドレスでのコーチ留学経験もあってか、試合のない日にあまり全体練習をやらないなど、選手の負担を軽減して個々の自主性を重視しています。しかし、この練習施設の充実と相まって、選手たちはおのずと練習に励み、チームにいいサイクルが生まれていると聞きます」(デスク)
ちなみに、前回の東京五輪が行なわれた1964年の日本シリーズは、阪神対南海の"関西対決"だった。球団こそ違えど、57年ぶりの関西対決が今年は実現するか?