日本は本番を想定した選手起用できっちり勝ちにいくべきと語るセルジオ越後氏 日本は本番を想定した選手起用できっちり勝ちにいくべきと語るセルジオ越後氏

U-24代表(五輪代表)が、U-24ホンジュラス代表(12日)、U-24スペイン代表(17日)と親善試合を行なう。東京五輪前の最後のテストマッチだ。

相手のメンバーやコンディションなどのチーム状況はわからないけど、共に東京五輪に出場する国。親善試合でよくある"肩透かし"、つまり予想していたよりも弱すぎて強化にならない、ということはないだろう。

ホンジュラスは、日本が五輪2戦目で当たるメキシコと同じ北中米カリブ海地区の国。とはいえ、仮想メキシコというほどの力はなく、むしろ日本が絶対に勝たなければいけない初戦の南アフリカ戦のシミュレーションにちょうどいい。そして、強豪スペインは2戦目のメキシコ、3戦目のフランスというイメージだ。

だからこそ、日本は本番を想定した選手起用できっちり勝ちにいくべき。ここで結果を出せればチーム全体の自信になるし、本番に向けて勢いがつく。

ただ、気になるのは選手のコンディション。はっきり言ってバラバラだと思う。海外組は長いシーズンを終え、一度クールダウンして、再び上げていくところ。一方、国内組はシーズン中盤に差しかかり、選手によっては疲労もたまっているはず。

特に心配なのは、所属クラブでアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の連戦をこなす川崎の三笘(みとま)、旗手(はたて)、名古屋の相馬の3人(川崎の田中は遠征に帯同せず)。コロナの影響による海外での集中開催とあって、肉体的にも精神的にも負担が大きいはず。そこからどう切り替えられるか。ホンジュラス戦には間に合わなくても仕方ない。

いまさら言っても仕方がないことだし、それぞれのチーム事情があったにしても、彼らは無理してACLに連れていかなくてもよかったね。実際、オーストラリアのチームは出場を辞退しているし、明らかにメンバーを落として、実質2軍、3軍で臨んでいるチームも目につく。

しかも、AFC(アジアサッカー連盟)もそうした手抜きをするチームにペナルティを与えない。正直、今回のACLはまじめにやるのがバカバカしいくらいだ。3人とも重要な選手だし、くれぐれもケガだけには注意して戻ってきてほしいね。

そして、もうひとつ心配なのが、ほかのポジションに比べて質も量も明らかに手薄なFW陣。スタメン候補の上田がここにきて肉離れを負い、五輪本番までにどこまで回復するか不透明な状況だ。

この世代には突出した存在のFWがいなかったんだけど、そのなかでも上田はプレーに力強さが出てきたし、僕も納得の人選だった。それだけに離脱は痛い。なんとか五輪に間に合わせてほしいけど、100%のプレーを望むのは厳しいかもしれない。バックアップメンバーの林と入れ替えるべきか、森保監督も悩んでいるだろう。

そうした状況で奮起を期待したいのが、もうひとりのFWである前田。彼の持ち味は爆発的なスピードを生かしたカウンター、ゴール前の飛び出し、そして前線からの激しい守備。逆に、相手を背負ってのプレーは得意ではない。だから、2012年ロンドン五輪のときの永井のようなイメージだね。

いずれにしても、この状況は彼にとって大きなチャンス。いかつい坊主頭の外見は目立つし、ラッキーボーイ的に活躍すれば人気者になれそう。まずはホンジュラス戦、スペイン戦でいいプレーを見せて安心させてほしい。

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