本番前の親善試合では、OAの選手たちの支えもあり、堂安や久保が連続ゴールを挙げるなど調子は上向きだ 本番前の親善試合では、OAの選手たちの支えもあり、堂安や久保が連続ゴールを挙げるなど調子は上向きだ

いよいよ開幕が目前に迫ってきた東京五輪。注目の男子サッカーは開会式前日の22日に初戦を迎えるが、地元開催の今大会では、銅メダルを獲得して世界を驚かせた1968年メキシコシティ五輪以来となる偉業に大きな期待が寄せられている。

しかも、A代表も指揮する森保一(もりやす・はじめ)兼任監督が選んだ22人のメンバーには、オーバーエイジ(OA)の吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航(わたる)の3人のほか、冨安健洋、堂安律、久保建英(たけふさ)ら計9人の海外組が集結。

自他共に認める史上最強チームが地の利を生かすことができれば、監督や選手たちが公言する「金メダル獲得」も現実的な目標と言っていい。

そこで気になるのが、日本がグループステージで対戦する南アフリカ、メキシコ、フランスのチーム状況だ。確かに国名だけを見れば難敵ぞろいのように見えるかもしれないが、直前情報などを総合すると、それほど恐れる必要はなさそうだ。

まずグループ初戦で対戦する南アフリカは、危機的状況に直面している。当初OA枠での出場が期待されていたFWパーシー・タウが、所属のブライトン(イングランド)による招集拒否に遭ったのが最初の誤算だった。

続いて、直前合宿中にMFファグリ・ラカイ、MFシポ・ムブレ、FWライル・フォスターといった主力を含む計5選手が、メディカル的な問題によりチームを離脱するトラブルが発生。デイビッド・ノトアン監督は急遽(きゅうきょ)代役を呼ぶとしているが、どこまで希望どおりの追加招集ができるかは、現時点では不透明だ。

同じく、下馬評ではグループ最強と目されていたフランスも、シルヴァン・リポル監督の思惑とは大きく異なるメンバーで、大会に臨むことを強いられている。

8月6日に国内リーグが開幕するフランスでは、各クラブ1名の招集が基本原則とされていたが、リーグ戦を重視する数クラブは主力選手の招集を拒絶。その結果、MFエドゥアルド・カマヴィンガ(レンヌ)、MFマクサンス・カクレ(リヨン)、MFジョナタン・イコネ(リール)らトップレベルのタレントの多くが、当初のメンバーリストから除外されてしまった。

もちろん、OA枠で参加するFWアンドレ=ピエール・ジニャック、MFフロリアン・トヴァン、MFテジ・サヴァニエは経験豊富な実力者だが、国としてメダルを狙うような高いモチベーションはない。3戦目で対戦する日本が大会中に得られる情報も多いだけに、悲観するほどの強敵とはいえないだろう。

逆に、最も警戒すべき相手は北中米カリブ海予選を首位突破したメキシコになる。ベティス(スペイン)のMFディエゴ・ライネス以外はすべて国内組で構成されるメンバーではあるが、そのほとんどがA代表を経験する有力選手で占められているからだ。

最大の注目は、W杯でもおなじみの名物GK、ギジェルモ・オチョア(OA枠)。そのほか、DFホルヘ・サンチェスとMFカルロス・ロドリゲスも、森保ジャパンが敗戦を喫した昨年11月のA代表の試合でスタメンに名を連ねた要警戒選手だ。

また、この試合で途中出場したFWウリエル・アントゥナは、「世界最速」といわれるフランス代表FWのキリアン・エムバペを上回るスピードの持ち主としても知られている。

2位以上の成績でグループ突破をもくろむ日本にとって、メキシコ戦が最初のハードルになることは間違いない。 

一方、準々決勝に進出した後にも、日本の行く手を阻みそうな強豪が待ち構える。その筆頭が、欧州予選優勝国として大会に挑むスペインだ。

2012年ロンドン五輪では、初戦の日本戦でつまずいたためにグループ敗退の屈辱を味わったが、2大会ぶりの出場となった今回は、大会随一の豪華メンバーがそろった。

驚くべきは、準決勝で涙をのんだユーロ2020(欧州選手権)に出場した6選手が、敗退から1週間も休まずに来日することだ。特にクラブが五輪参加を懸念していたペドリ(バルセロナ)の出場が確定したことからも、チームとしての本気度が伝わってくる。

欧州のチームは五輪を軽視しがちだが、今回のスペインは本気。バルセロナで活躍する18歳MFのペドリら豪華メンバーで頂点を狙う 欧州のチームは五輪を軽視しがちだが、今回のスペインは本気。バルセロナで活躍する18歳MFのペドリら豪華メンバーで頂点を狙う

ペドリのほか、A代表の正GKウナイ・シモン、DFパウ・トーレス、DFエリック・ガルシア、FWダニ・オルモ、FWミケル・オヤルサバルのユーロ6人衆に、OAとしてレアル・マドリーの主軸FWマルコ・アセンシオ、MFダニ・セバージョスが加わったスペインは、日本にとって最大の脅威となるだろう。

また、ホスト国として参加した前回大会で悲願の初優勝を果たしたブラジルも、金メダル候補に挙げられる。

ネイマールの出場は叶(かな)わなかったが、リヨン(フランス)のMFブルーノ・ギマランイス、エバートン(イングランド)のFWリシャルリソンといったタレントに、OA枠でセビージャ(スペイン)のDFジエゴ・カルロス、大ベテラン右SBのダニ・アウヴェスを招集。

22人中、欧州組が半数の11人を数え、さらにGKにもOA枠を使うなど、連覇に向けた抜かりのない陣容を整えている。

この2チームに加え、南米予選優勝国のアルゼンチンも04年アテネ五輪と08年北京五輪で連続金メダルを獲得した強豪国。3月の親善試合では日本が1勝1敗の成績を残したが、内容はやや相手が上回っていただけに難敵であることは間違いない。

ただ、それでもコロナ禍では調整面なども含めて地元・日本が有利。メダル獲得を大いに期待していいだろう。