大谷翔平について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第212回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、大谷翔平ついて。メジャーリーグで二刀流として大活躍し、多くの話題を振りまいている大谷翔平。宮澤ミシェルもその活躍ぶりから目が離せないと語った。

*****

毎日たまらなく見たくなるよね、大谷翔平。

あのホームランを見るとスカッとするんだよ。だから、ついつい試合を追いかけちゃう。オリンピック期間中も大谷がホームランを打ったか気になるから、彼の打席だけは可能な限り見るようにしていたくらいだからね。

オールスター前に比べたらホームランを打つペースは落ちているんだけど、それは仕方ないよな。去年はコロナ禍だったし、大谷も故障があってフルにシーズンを戦っていなかったから、その影響が出ているんじゃないかな。またそのうちバカスカ打ち始めるはずだよ。そう期待しているから、毎日のように観ちゃうんだよな(笑)。

野球のいいところは、ほぼ毎日試合があるところだよ。サッカーは肉体的にハードだから、それができない。もし毎日試合をやったら、選手が次々と壊れていって誰もいなくなっちゃう。野球もハードなんだろうけど、種類が違うんだろうね。

それでも大谷はバッターとしてほぼ毎日試合に出て、ピッチャーもやってる。しかも、登板する日も打席に立つんだから。マンガの世界を超えちゃってるもんな。肉体的にもだいぶ疲れが溜まってきていると思うよ。

大谷のなにがスゴイって、もはや日本人選手だとか、外国人選手だとかを超越した存在になっていることだよ。

サッカーで言えば、メッシやクリスティアーノ・ロナウド。彼らがアルゼンチン国籍、ポルトガル国籍だと知っていても、そこは重視しないでしょ。ワールドカップで意識する程度で、日常的には意識しないし、単純にサッカーの頂点に君臨する選手として受け止めている。

大谷も同じだよね。アメリカ、ドミニカ、キューバ、メキシコ、プエルトリコ、韓国、台湾などの国々の選手のいるメジャーリーガーのなかのひとり。出身国に関係なく、スーパースターになりつつある。それがいいよな。

大谷の今季の年俸は約3億円(330万ドル)で、来季が約6億円(550万ドル)なんだってね。活躍ぶりを考えたら超格安だと思うよ。聞くところによるとメジャーリーガーの平均年俸は417万ドル、日本円で約4億5900万円で、それにも満たないってことだからね。

いまの契約が来シーズン終わりまでだから、エンジェルスは大谷と新たな契約を結び直すっていう話しがあるようだけど、当然のことだよな。あれだけ多くのファンをスタジアムに集められる選手なんて、そうそういるものじゃないからね。

メジャーリーガーでもっとも年俸の高いのが、大谷のチームメイトのマイク・トラウト外野手なんでしょ。12年総額4億2650万ドルで、年俸3711万ドルの約39億円。2番目にもらっているのが、ジェイコブ・デグロム投手(メッツ)とゲリット・コール投手(ヤンキース)で、ふたりとも年俸約37億8000万円。

プロスポーツの年俸は、実績を重ねることで上がっていくものとはいえ、トップ3の選手と比べると大谷はあまりにも安すぎるよな。だから、新たな契約話がでてくるんだろうね。

大谷には100億円の価値はあるよ。打者としてトラウトと同じ39億円かそれ以上をもらっていいと思うし、投手としてはデグロムやコールと同じ37億円は払ってほしいよな。合わせて76億円。

これにプラスして、ほかの誰にも真似できない二刀流で毎日のように試合に出てきて、投打でファンを熱狂させている分として24億円は出してもらって、しめて100億円。その金額くらいの価値が大谷にはあるよな。

ちなみに、ニュースを見るとバルセロナを退団したメッシが、昨年まで受け取っていた年俸が約191億がらしいね。これは、凄まじい金額だよ。半額になったとしてもラ・リーガの規定をクリアできないのも当然といえば、当然だよな。

バルセロナ以外のユニフォームを着ることになるメッシについては、タイミングを見計らって改めて話したいけれど、いまは大谷君! 1日も早く調子を完全に取り戻して、人類の規格外の打球で外野スタンドに放り込んでほしいね。

日本サッカー界にも大谷翔平のように、人種の壁を超えて世界の頂点に立てる選手が現れてもらいたいですね。

★『宮澤ミシェル フットボールグルマン』は毎週火曜日更新!★