三菱重工浦和レッズレディースに所属する塩越柚歩(しおこし・ゆずほ)選手 三菱重工浦和レッズレディースに所属する塩越柚歩(しおこし・ゆずほ)選手

女子サッカーの三菱重工浦和レッズレディースに所属する、塩越柚歩(しおこし・ゆずほ)選手。"なでしこジャパン"のメンバーとして、東京五輪でのメダル獲得はならなかったが、9月12日に開幕を迎える初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」に込めた思いは強い。前編記事から引き続き、コロナ禍をはじめとする紆余曲折を経て、日本のトッププレーヤーに成長した彼女の素顔に迫る。

■コロナ禍で初めて覚えた不安

――なんとか東京五輪は開催、塩越選手は出場を果たしましたが、やはり20~21年はコロナ禍で大変でしたか?

塩越 そうですね、特に去年4月の緊急事態宣言下では、サッカーが全くできない日が続くということ自体、幼稚園の頃からサッカーを始めて以来初めてだったので不安でした。練習場のレッズランドも封鎖、どうにもならないので、自宅近くの公園に行って、ボールを蹴ったり、ランニングしたり......。あとは気晴らしにパンケーキを作ってみたり。自炊はずいぶん上達しましたね。

――16年から今年までは、(株)エコ計画という会社でOLと兼業だったわけですよね? 会社の方はやはりリモートワークになったんですか?

塩越 いや、会社の業務内容がリモートでの対応が難しいので、基本的に出社していました。もともと、新型コロナが発生する前は月曜にお休みを頂いて、火曜から金曜まで、8時半~15時の間勤務して、その後練習に向かっていましたね。今年から環境アンバサダーに就かせて頂いたんですが、ずっと応援して頂いて、本当に感謝してます。

――「WEリーグ」でプロ一本となるわけですが、どのような目標を設定していますか?

塩越 WEリーグの開幕がずっと待ち遠しかったし、楽しみにしていたぶん、思い切ってプレーしたいですね。去年までの自分じゃ全然ダメだから、当然のように今年は去年以上に結果を出したいですし、存在感を示したいです(ちなみに20年はリーグ18試合全出場、うち16試合に先発出場、3得点。リーグ優勝に貢献)。

――もっと具体的に言うと?

塩越 得点力を上げたいんですね。ゴールを量産したいです。それと、点の取れる選手でありつつ、点に絡むチャンスメイクもどんどん作りたいです。重圧に負けることなく、楽しみながら、勝利を重ねていきたいですね。

――WEリーグで結果を出せば、おのずと海外挑戦への道も?

塩越 ええ。ゆくゆくは海外挑戦もゼロではないなって思っています。繰り返しになりますけど、五輪では自分の持ち味がまるで発揮できなかったので。ドリブルもパスも、ほとんどさせてもらえなかった。もしレベルアップすれば、相手のやりたい放題ではなく、自分が思うようなプレーができて、サッカーがより楽しく思えるだろうなと。だから、まずはレッズレディースでしっかりとレギュラーを確保して勝利に貢献、WEリーグでの初代王者につくことが大事ですね。しっかりと地盤を固めたいです。

■一番の批評家である母のありがたさ

――幼稚園児のころにサッカーを始めたとのことですが、そもそものきっかけは?

塩越 幼稚園時代、サッカースクールに通う2つ上の兄にくっついていって、そこで練習には参加せずに、遊び半分でボールを蹴っていたのが最初だったかと。バトントワリングも並行してやっていたんですけど、小学校に上がるタイミングで、母からどちらかにしなさいと。

――そして、サッカーを選んだわけですね。よっぽど向いていたんですかね。

塩越 単純に負けず嫌いだったんですね。兄に負ける、周りの子に負けるのが大嫌いだったんです。試合で敗色濃厚となると、悔しくて大泣き。練習帰りに、母からダメ出しされると、そこでまた大号泣してました(笑)。

――お母さまがセルジオ越後さんのごとく、厳しい批評家だったと。

塩越 それは今も変わりないですね。私が出場する試合はホームゲームだと全部、アウェーでも関東近郊なら観に来てくれます。さらに帰宅後、録画したゲームを再度チェックしていて。「あの場面は、こういうプレーができたはずだよね」とか。1日で2度観戦するわけです。でも、うれしいですよね。母の存在は心強いです。

――凄まじいですね(笑)。オフの日も、お母さまと過ごすことが多いんですか?

塩越 そうですね。今はコロナ禍ということもあり控えていますが、もともとは母と一緒にカフェに行ったり、ご飯に行ったり、買い物したり。ファッションが好きなんで。

――ちょっと道を外れた質問をぶつけますけど、好きな男性のタイプはおしゃれでカフェに連れていってくれる人ですかね?

塩越 おしゃれな男性は好感度高いですね(笑)。もちろん、それが全てではないですけど。
でも、食べることも好きなんで、おいしいと評判のお店に連れて行ってくれたら、ポイント高いですね。

――最後に、東京五輪についての総括と、これからの抱負について聞かせてください。

塩越 正直、メダルは獲りたかったです。でも、今となっては東京五輪に出たこと自体、私の中で、経験値ゼロから一気に数値が上昇したのは間違いないです。五輪が気づかせてくれたことを失わないように、もっと自分が成長して世界に通用できるように頑張りたいです。

                                     

塩越柚歩(Yuzuho SHIOKOSHI)
1997年11月1日生まれ、埼玉県出身
身長166㎝
趣味=ショッピング、カフェめぐり
〇ドリブル、ミドルシュートを得意とする攻撃的MF。
なでしこリーグ2020ベストイレブン、東京五輪2020女子サッカー代表
公式Twitter【@yuzuho_19】
公式Instagram【@yuzuho_shiokoshi19】

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