引き続き前途は多難だけど、ひとまずチームも監督も首の皮一枚つながったというところだね。
カタールW杯アジア最終予選、序盤の山場であるサウジアラビア、オーストラリアとの2連戦を、日本代表は1勝1敗で終えた。
アウェーのサウジ戦は0-1というスコア以上の完敗。日本のチャンスは柴崎のミドルシュート、鎌田のスルーパスを受けた大迫のシュート、そして、右からのクロスにニアで合わせた大迫のボレーの3回だけで、すべて単発。セカンドボールを拾って2次攻撃、3次攻撃を仕掛ける継続性はなかった。
相手のサウジは試合運びが巧みで、決勝点こそ柴崎の痛恨のミスパスから奪われたとはいえ、攻撃のバリエーションも多く、この日は総合的に日本を上回っていたね。
そして迎えたオーストラリア戦、この試合に負ければ解任ともいわれていた森保監督は守田、田中 碧を先発に起用し、システムを4-2-3-1から4-3-3に変えた。両チームとも真っ向からぶつかり合う展開になったけど、古橋や浅野といった交代選手の頑張りなど、日本が終盤の運動量で上回り、なんとか2-1で勝利をモノにした。
この試合のMVPには最終予選初出場ながら先制点を決め、攻守に貢献した田中 碧を挙げたい。チームにリズムをもたらしてくれた。決勝点のオウンゴールを誘発した浅野もそうだけど、結果的に森保監督が思い切って起用した選手が活躍したのだから、采配的中ということになる。
ただ、今後を考えると不安は尽きないね。グループ2位以内を狙うには、依然として勝ち続けなければいけない崖っぷちの状況が続く。
また、どういうサッカーで、どうやって点を取るのか、という根本的な問題は残ったままだ。不動のスタメンである大迫や南野は今回も点を取れなかった。それでも森保監督は11月の2連戦(ベトナム戦、オマーン戦)で再びスタメンに起用するんじゃないかな。
今回活躍した浅野は、久保、堂安がいたら出番はなかったと思うし、彼らが故障から戻れば、招集されるかどうかもわからない。田中 碧にしても、サウジ戦で柴崎がミスをしなかったら、オーストラリア戦の先発起用はなかっただろう。つまり、オーストラリア戦は狙いどおりに勝ったというよりも、行き当たりばったりでたまたまうまくいったということ。
もちろん、個々の選手の頑張りは認めなければいけないけど、チームとしての完成度という意味では、率直にかなり厳しいね。これまでの最終予選4試合を見る限り、W杯本大会で上位を目指すのは難しい。繰り返しになるけど、得点の形が見えないのは深刻だ。
相手のレベルが上がると、"不動のメンバー"では勝てないことがわかったのだから、少なくとも今後は過去の実績にとらわれず、所属クラブで結果を出している選手を積極的に使うべき。
オーストラリア戦では、大迫に代わって途中交代で入った古橋が相手の守備陣をかき回した。これはヒントになると思う。日本の強みである最終ラインも、長友はもう90分走れないし、吉田も酒井もベテランといっていい年齢だからいつまで頼れるかわからない。森保監督はうまく競争原理を働かせて、チーム内を活性化させてほしい。11月の2連戦もシビれる展開になりそうだね。