残留争いについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第225回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、残留争いについて。いよいよ残すところ3節となったJ1リーグ。そんな中で、激しさを増す残留争いに宮澤ミシェルも注目しているという。

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川崎フロンターレがJ1優勝を決めた。これはもう「お見事!」というほかないね。

昨年限りで中村憲剛が引退し、開幕前には日本代表ボランチの守田英正がサンタクララに移籍。夏場にも三笘薫(サンジロワーズ)、田中碧(デュッセルドルフ)も海外移籍した。主力がどんどん抜けた影響は少しはあったけど、終わってみたら圧倒的な差で2連覇だもの。選手たちはもちろんだけど、鬼木達監督の手腕があればこそだったと思うよ。

優勝チームは決まったけど、まだまだJ1のリーグ戦からは目は離せないよ。来季のACL出場権をかけた3位争いも熾烈だし、なによりJ1の残留をかけた争いがおもしろいんだよ。残酷ではあるんだけれど。

昨シーズンは新型コロナ禍の影響で降格のない特例でシーズンが行われたけど、今季は下位4クラブが来季はJ2に降格になる。残留争いもリーグ戦の醍醐味のひとつだなって改めて感じさせられているんだよね。

昨季の終盤戦とはなにが違うって、選手たちの目の色が違うよな。J2に降格したくないから必死。それが予想を上回る試合展開や結果を生むことになっている。

「こんな試合ができるなら、シーズン序盤からやっていれば残留争いなんてしなかったのに」と思うんだけど、降格が背後に迫ってきたから不思議とできているところでもあるんだよね。

その残留争いは、今季の場合なら勝ち点40がボーダーライン。そこにガンバ大阪は11月3日の横浜FM戦に勝利して到達したし、柏も11月7日の試合に勝利して到達できたね。

ガンバ大阪に関しては、開幕から新型コロナ感染の影響でチームは低迷し、シーズン序盤に宮本恒靖監督の解任もあったけど、なんとか来季もJ1で戦えることになった。本来は戦力的にもっと上位を狙えるチームなんだけど、歯車がひとつ狂うと泥沼にハマってしまう。これがJ1の怖さだよ。

今季開幕前にミゲル・アンヘル・ロティーナ監督を招聘した清水エスパルスが、降格争いをするとは予想だにしなかったよね。これまで率いた東京ヴェルディ、セレッソ大阪で結果を残していたロティーナ監督だから、清水でも手堅く勝ち点を伸ばすと思っていたんだ。

クラブも戦力補強をしっかりやったけど、結果につながらなくて34節終了時にロティーナ監督を解任した。後任の平岡宏章監督は昨季も終盤戦で指揮をとっているけれど、降格のない終盤戦とはわけが違うからね。この大詰めで監督交代がどういう結果に転ぶのか興味深い。

湘南ベルマーレは10月23日の第23節で横浜FCに逆転勝ちしたのが大きかった。1点先制されたまま終わっていたら、ズルズル負けが続いた気がするよな。横浜FC戦に逆転勝ちし、続く11月3日の札幌戦も先制されながらも引き分けに持ち込んだ。ここにきて粘り強さが出ているし、そこに結果が伴っているから、選手たちの気力はみなぎっていると思うよ。このまま残留まで突っ走る可能性が高いんじゃないか。

苦しくなってきたのは徳島ヴォルティスだよな。8月に6連敗したのも痛かったし、そこから2連勝して復調気配になったところで、最下位の横浜FCに負けたのがキツかった。あそこで勝ち点を逃したのが、ここからの最終盤でどう影響するかだよな。

残り3試合の相手はFC東京、湘南、広島。3連勝がまったく望めそうにない相手というわけではないから、昇格1年目での残留を勝ち取るために最後まで諦めないでほしいよな。

最下位の横浜FCは後半戦の戦いだけを見れば降格するチームじゃないんだ。横浜F.マリノス戦、鹿島アントラーズ戦、徳島戦と攻守が噛み合っていてさ。どうしてFWサウロ・ミネイロみたいな選手をシーズン頭から獲得できなかったのかね。開幕から戦力を整えることができていたら、この順位はなかったと思うよ。

J1リーグ戦の再開は、日本代表のW杯アジア最終予選が終わった後の11月20日。渦中にいるクラブはそれまでの期間でチームにどんな手を加えてくるのか楽しみだよな。ラスト3節でどんなドラマが生まれるのか。最後までしっかり注目していきましょう!

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