浦和レッズについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第233回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、浦和レッズについて。昨年の天皇杯を見事に制した浦和レッズの2022年シーズンに期待したいと宮澤ミシェルは語る。

*****

明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします。

正月の恒例行事といえば天皇杯サッカー決勝戦! だけど、今回はすでに昨年末の12月19日に繰り上げで開催されちゃっていたから、元旦決勝はなかったんだよね。サッカー人としては、なかなか年が明けた気がしなかったよ。

昨年末の天皇杯決勝戦を戦ったのは、浦和レッズと大分トリニータだったね。DF槙野(智章)のロスタイムでの劇的な決勝ゴールで浦和が2-1で勝利したけど、J2降格の決まっていた大分の意地を見た大会でもあったよな。

準決勝で川崎Fから大金星をあげて、決勝でも浦和を土壇場まで追い詰めた。リーグ戦とカップ戦は別物だけど、2020シーズン前に主だった戦力をあれだけ抜かれたのに、天皇杯で準優勝できるんだから大したものだよ。片野坂(知宏)監督は今季はガンバ大阪を指揮するけど、大分にはもう一回J1の舞台に上がってきてもらいたね。

天皇杯のタイトルを獲った浦和は、今年は期待したくなるよな。槙野はヴィッセル神戸へ、FWの興梠慎三はコンサドーレ札幌へ、阿部勇樹は引退したのをはじめ、このオフに多くの選手を放出した。

2020シーズンに浦和に在籍した選手で、今シーズンもチームにいるのはGK西川周作、CB岩波拓也、MF柴戸海、MF関根貴大だけ。クラブにはだいたい30選手ほどいるんだけど、残っているのが4選手っていうのは、浦和のチームをつくり変える気持ちの本気度だよな。

このオフに獲得した選手たちの活躍にも期待したいね。CBに鹿島から28歳の犬飼智也、横浜FCからMF松尾佑介、鳥栖からDF大畑歩夢が獲得できたのは大きいよな。犬飼は鹿島でACLの経験があるからね。24歳の松尾と20歳の大畑は、これからの浦和を担える人材だよな。

大畑には注目したいね。浦和は立ち位置を重視するスタイルだから、ピッチのどこからでも攻撃はできるんだけど、左サイドが若干弱い印象があったんだよな。そこに左サイドバックもできる大畑を補強でしょ。

左利きのU-22日本代表候補で、まだまだ伸びる素材だからね。まあ、大畑が成長しすぎると浦和から海外に飛び出しちゃうから、今後の浦和を担ってもらえなくなるんだけど、それもまた夢があるじゃない。

あと、気になる存在なのが、12月30日に移籍加入が発表されたスウェーデン人のダヴィド・モーベルグ。チェコのACスパルタ・プラハからの完全移籍で、情報によると「スピードに乗ったドリブルで相手DFを翻弄する、左利きのウインガータイプのMF」だっていうんだから楽しみだよ。入国時期は未定みたいだけど早くプレーが見てみたいね。

そんな浦和の課題となるのは、1トップだよな。FWキャスパー・ユンカーの去就がまだわからないけれど、シーズン終盤にコンディション不良で苦しんだとはいえ、リーグ戦15試合の先発出場で9得点。この得点力は手放せないよ。

ただ、ユンカーが残留したとしても、彼だけでは心もとないもの事実だよな。興梠は札幌に出しちゃったし。昨季途中から横浜F.Mにレンタル移籍していた杉本健勇もジュビロ磐田にレンタル移籍。今季は浦和に戻って活躍するのでは?と個人的に期待していたんだけどな。

リーグ戦、ACL、ルヴァンカップ、そして天皇杯。どれかひとつのタイトルに絞るなら、現状でもいいけれど、そんなわけはないでしょ。4つとも獲得したいなら、FWの補強は必須だよな。デカいとか、ドリブルがめちゃ速いとか、強烈な特長のある外国人FWを獲ってほしいな。

浦和の選手の世代交代や新陳代謝は進んで、2021年シーズンで下ごしらえもできた。新たな素材も手に入れた。あとは2年目のリカルド・ロドリゲス監督の腕の見せどころだよな。

昨季はロドリゲスのサッカーがハマれば強いんだけど、噛み合わないとズタボロにされることもあったからね。今季は相手も研究して対策を練ってくることは間違いないから、それを上回るサッカーを開幕までにつくりあげてもらいたいよな。

2022シーズンのJリーグ開幕は2月18日(金)、川崎フロンターレvsFC東京で幕を開ける。例年より1カ月早いけど、まだ1カ月先って思うと、待ち遠しいな。

なんで前倒しになっているかといえば、今年は11月にW杯カタール大会が開催されるから。日本代表も苦しんでいたけど、出場への光は射しているから、しっかり応援していきましょう! 

あとさ、天皇杯で言えば、来年も元旦決勝ではないんだよ。今年の10月16日に決勝戦なんだってさ。お正月の風物詩に戻る日が待ち遠しいよ。

★『宮澤ミシェル フットボールグルマン』は毎週火曜日更新!★