グループ1位のサウジとの試合は勝ち点3がノルマだと語るセルジオ越後氏

今年は4年に一度のW杯イヤー。日本サッカーの最大のターゲットも、当然そこになる。

4年前のロシアW杯で日本はベスト16に進み、強豪ベルギーをあと一歩のところまで追いつめた。今年11月に開幕するカタールW杯ではそれ以上の成績を期待したいところだけど、残念ながら今の日本代表はそんな先のことを考えられる状況にない。

まずは7大会連続の本大会出場をしっかり決めること。選手はもちろん、ファンもメディアもそこに全神経を集中すべきだろう。 

昨年9月に開幕したW杯アジア最終予選、日本はここまで6試合を終えて4勝2敗でグループ2位。初戦のオマーン戦、3戦目のサウジアラビア戦に敗れ、一時はどうなることかと心配したけど、なんとか立て直した。

そして、このままの順位をキープできれば出場権獲得となるわけだけど、3位オーストラリアとの勝ち点差はわずかに1。アウェーでの直接対決も残していて、まったく気の抜けない状況だ。

そもそも最終予選開幕前の8月、東京五輪でメダルを逃したのが痛かった。オーバーエイジ3人を招集し、組み合わせにも恵まれ、引いて守ってカウンターというサッカーでなんとか準決勝まで勝ち上がったものの、結局、メダルには届かなかった。

特に攻撃面の課題が目につき、実際、五輪代表の攻撃陣からはA代表のレギュラーの座を奪うような選手は出てこなかった。そしてA代表はその悪い流れのまま最終予選に臨み、序盤に大きくつまずいてしまった。

昨年から何度も言っているように、日本代表の守備はある程度計算が立つ。全然悪くない。ベテランの吉田は頑張っているし、若手ではストッパーの冨安のほかにも、左サイドバックの中山やボランチの田中碧なども成長してチームを底上げしている。

だから、あとは攻撃陣の頑張り次第。これまで最終予選で結果を残している伊東に続く選手が出てくるか。そこに尽きる。

個人的には三笘(みとま)、古橋、堂安といった所属クラブで好調な選手に注目している。

特に三笘には何かやってくれそうな期待感があるね。パスをしっかりつなぐポゼッション重視の現代サッカーにあっても、結局、最後に必要になるのは個の力。その意味で三笘のドリブル突破は魅力がある。すでにA代表でもチャンスをつかみつつあるけど、先発で出て、伊東と並んでチームの顔になる活躍を見せてくれればと思う。

今回の最終予選はアウェー戦の地上波テレビ中継がない。試合翌日のスポーツニュースでの扱いなどを見ても、世間のサッカー熱は以前に比べて明らかに下がっている。

もし今回、カタールW杯出場を逃したら、日本のサッカーはどうなってしまうのか。財政面の問題から、日本サッカー協会が本部ビル(JFAハウス)を売却する噂も出ているけど、サッカーが昔みたいにマイナーな存在に戻ってしまうのか。そんな漠然とした不安がある。

だからこそ、まずは今月、来月の最終予選、中国、サウジアラビアとのホーム2連戦をしっかり勝つこと。特にグループ1位のサウジとの試合は勝ち点3がノルマだ。クリアできれば、W杯出場にかなり近づく。

そして1試合でも早く突破を決めて、「目標は本大会ベスト8」「いや、ベスト4だ」と楽しい話ができるようになるといいね。

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